木曜日, 12月 31, 2009

2009 review in MSNBC: オルバーマンとレイチェル・マドウしか強くない

万年3位のMSNBC。2009年も万年3位は変わらず、といったところか。
2008年に指揮がダン・エイブラムス(Dan Abrams)からフィル・グリフィン(Phil Griffin)に交代し、MSNBCの希望がくっきりと見えた。一方で2009年はMSNBCの課題が顕著になった年となった。

2008年9月にレイチェル・マドウ(Rachel Maddow)による『レイチェル・マドウ・ショー (The Rachel Maddow Show)』を開始。大統領選挙を2ヵ月後に控え、サラ・ペイリン登場で民主党の優位性が衰える中で始まった。マドウはリベラル派のトークラジオホストでMSNBCにゲスト出演することの多かった人物。番組を始めるまでMSNBCと契約を結んでいたわけでもないが、常連のゲストとなり、司会代理の経験もある注目されるだけの人気はあった。2008年6月、MSNBCの番組で保守派のジョー・スカーボロを言い負かしている。
マドウの番組はMSNBCにおいて久しぶりとなる正式なオピニオン番組だ。キース・オルバーマンがホストの『カウントダウン (Countdown with Keith Olbermann)』がオピニオン番組でないわけではないが、パーソナリティーが完璧なパンディットとして登場したのは久しぶりだ。

2007年までジョー・スカーボロ(Joe Scarborough)―現在は同局朝の番組を担当している―が、2008年3月までタッカー・カールソン(Tucker Carlson)がプライムタイムを担当、いずれも保守・リバタリアンの面々だった。そこにキース・オルバーマンやクリス・マシュー(Chris Matthews)のリベラル「っぽい」面子が加わる、そんな程度。しかし揃ってブッシュ政権批判など、捉え方が斜に構えるようになっている。
フィル・グリフィン体制となっての最初の大きな一手はマドウの起用だった。これでようやくリベラル路線へシフトしたことが明確になる。これは時期が良かった。選挙戦の最終盤に向かう9月、ケーブルニュース全体でレイティングが上昇する時期にマドウを登場させたのが正解だった。追い風にのるようにレイティングCNNのラリー・キングを捉えることが出来たのだ。勿論、万年3位をひた走る、これまでの歴史に無かったことだ。
『カウントダウン』が8時と10時(再放送)に放送しており、プライムタイム(8-11時)のレイティングでCNNに迫り、マドウがあと一歩で年間通しでラリー・キングを追い抜く所だった。そしてデモ(25-54歳)だけの視聴者数ではCNNを抜いた。デモは広告主が重視している世代として認識されているから注目を集める。2009年10月、アニタ・ダンがFox Newsは報道番組じゃないと言って物議を醸した時の事。オルバーマンがFoxがニュースでなく、MSNBCはプライムタイムでCNNを負かしているのなら、MSNBCがNo.1だとおちょくる余裕を見せた。
マドウの成功を受けてグリフィンは2009年1月、『カウントダウン』の再放送に充てている夜10時台に新番組立ち上げを示唆する発言をした。オルバーマン、マドウに続くリベラルパンディットの起用で3匹目のドジョウを狙おうとしたのか。結果として4月、6時のインタビュー番組『1600ペンシルベニア・アベニュー (Pennsylvania Avenue)』が終了し、ベテランのラジオトークホスト、エド・シュルツ(Ed Shultz)を起用した『エド・ショー(The Ed Show)』を開始させた。革新派の彼はこれを機にニューヨークに移住している。レイティングは決して良くない。シュルツの個性が弱いということか?それでも1年前まで同じ時間帯を担当していたカールソンより視聴者を獲得しているようだ。
オルバーマン、マドウ、シュルツ。夜間に3人が登場したことでMSNBCはリベラルバイアスがかかっていると見なすことが出来る―Fox Newsが保守バイアスと見なされているように。

一方で、2009年6月末に本格的にHD放送を開始。これに合わせる格好で昼間の改編に着手した、CNNに肉薄したいために。
しかし、露呈するのは結局のところ「MSNBCは強くなった。しかしそれはオブラーマンとマドウが強いだけで、他は相変わらずだった」という事実だった。
6月、9時-1時に新番組を投入した。11時まではMSNBCの姉妹局CNBCから移籍したディラン・ラティガンの『モーニング・ミーティング(Morning Meeting with Dylan Ratigan)』、次いで新進のカルロス・ワトソン(MSNBC Live with Carlos Watson)、医療記者ナンシー・シュナイダーマンの『ドクター・ナンシー("Dr. Nancy" Snyderman)』と続くが、残念な事に彼らを投入してレイティングは悪化した。秋以降は日中のレイティングでMSNBCはHLNとCNBCに負けて5位になる事が恒常化し、11月と12月はこの時間で月間で5位となった。
結局、9-1時は全てキャンセルとなった。半年で刷新をすることになったが、元々MSNBCが昼間に新番組を立ち上げて成功させた試しが無い。成功したというのなら2年以上続いたケースがあったろうか。個性を出さずにMSNBC Liveとして放送していた方が数字はいいのだ。ではアンドレア・ミッチェル("Andrea Mitchel Report")が長々続いているのは彼女のキャリアを重んじてなのか。
ラティガンは2010年1月から午後4時に移動して再スタートを切る。9時からはホワイトハウス記者のチャック・トッド(Chuck Todd)―2008年の選挙戦で名が知れるようになる―とサバナ・ガスリー(Savannah Guthrie)が担当する『デイリー・ランダウン (The Daily Rundown)』を開始させる。『ハードボール (Hardball with Chris Matthew)』のようなニュースサマリーとインタビューという体裁になるのだろうか?
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火曜日, 12月 29, 2009

2009 review in CNN: 低調から脱出できるか?

2009年のCNNはプライムタイムの弱さが克服出来ていない事を露呈した1年間だった。
2000年から本格化したFox Newsとの視聴率争いはFox Newsの完璧なラインナップに立ち撃ち出来ずにいた。2005年に統括するようになったジョン・クラインはFox Newsの個性や主張の強い番組作りとは袂を分かつ。
結果として2008年の選挙シーズンでCNNは潜在能力とその強さを発揮した。

しかし、イベントが無い平時のニュース番組はどうか。365日のうち祝祭日を除いた平日は250日あるとして、緊急ニュースや大統領記者会見などイベントは30日あるとして、それでも少なくても200日は平時の報道番組となる。
その200日が弱い。確かに視聴者はついてきてくれている。この何年かは横ばいで推移して、イベントがあれば大きくレイティングを伸ばす。2009年7月のマイケル・ジャクソン報道でレイティングが上昇したが、一時的なものに終わった。
一方でライバルはじわりじわり着実にレイティングを伸ばしており、そして彼らはジョン・クラインが袂を分かった筈の、個性や主張を全面に出した番組たちだった。目下の課題は万年3位のMSNBCとCNNの姉妹局HLNに本当に追い抜かれてしまわないか。
2010年初頭のプライムタイム(8-11時)はキャンベル・ブラウン(Campbell Brown)、ラリー・キング(Larry King)、アンダーソン・クーパー(Anderson Cooper)で変更はない。

一方で、CNNは3時-8時を変える予定。3時台『CNNニューズルーム』を担当しているリック・サンチェス(Rick Sanchez)が4時台にも進出。『Rick's List』とタイトルを変えた2時間番組として開始する。この番組名をどこかで聞いたことがあると思っていたら、Twitterのricksanchezcnnアカウントのリスト機能を「Rick's List」と呼んでいた。Twitterアカウントに送られてきた「つぶやき」を番組に反映させて注目を集めたが、この姿勢がどこまで還元出来るだろうか。これに伴ってウォルフ・ブリッツァー(Wolf Blitzer)の『シチュエーション・ルーム』は2時間に短縮される。サンチェスと同じ2時間、予算はブリッツァーの方があるだろうに。2012年の選挙シーズンには放送時間を拡大させるのだろうか?
また、ルー・ダブス(Lou Dobbs)の辞任で穴の開いた午後7時台はレイティングが下降している。その後任はマジックウォールのジョン・キング(John King)が担当する事が決まっている―番組名はまだ決まっていない。ジョン・キングは日曜の『ステート・オブ・ユニオン』を担当しているが、別のアンカーが担当するらしい。
今回はジョン・キングとリック・サンチェスの昇進が目立つ格好だ。
実際のところ、プライムタイムの「伸び」が弱いCNNだが、日中は堅持している。絶対2位だが、決してFox Newsに勝てないのがミソでもある。日中の『ニューズルーム』はアトランタから放送するが、フルHD撮影とスタジオセットのリニューアルをいつするのだろうか?

一方でCNNは独自にイベントを企画するが、その効力を心配する。
平日のプライムタイムに編成するドキュメンタリーシリーズ、2007年開始の『プラネット・イン・ペリル (地球の危機)』、2008年開始『ブラック・イン・アメリカ』に続き、2009年に『ラティーノ・イン・アメリカ』を放送した。放送する意義はあるが、直接レイティングに反映されない。ドキュメントの視聴者は年々減っている、反映されるのはCNNに対するイメージか。
ドキュメントも第2弾・第3弾と放送出来るか。『ラティーノ』は『ブラック』より悪かったようだが。一方で今年『地球の危機』は放送していない。
そして2007年から続く『CNNヒーローズ』、これをキャンセルする事はまずない・・・のだろうか。これこそイベント色120%だ。
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木曜日, 12月 17, 2009

CBSクレイグ・ファーガソンの深夜トーク番組、放送1000回達成

2009年12月15日深夜、CBSの深夜トーク番組『レイトレイト・ショー ウィズ クレイグ・ファーガソン (The Late Late Show with Craig Ferguson)』が放送1000回を数えた。

#The Late Late Show
レイトレイト・ショー自身は1995年に始まった。1993年に始まった『レイト・ショー ウィズ デビッド・レターマン(Late Show with David Letterman)』が軌道に乗り、CBSとレターマン率いる制作会社であるワールドワイドパンツは深夜トークをもうひとつ、『レイトショー』に続いて放送することにした。
初代ホストはニュースキャスター/インタビュアーとして知られるトム・シュナイダー(Tom Snyder)で、コメディ色の薄いトーク番組として放送。1999年、コメディ・セントラル『デイリー・ショー (The Daily Show)』のクレイグ・キルボーン(Craig Kilborn)が司会となる。
シュナイダーは深夜トークだがコメディではない。キルボーンはアメリカのよくある深夜トークのフォーマットを踏襲した。オープニングのモノローグトークあり、『デイリー・ショー』でもしていた時事ニュースの風刺/スケッチもあり、有名人へのインタビューも盛り込む。キルボーンはシュナイダーに比べれば安定した人気があった。CBSも首を斬ることは考えていなかったろう。しかしキルボーンは5年経って降板する事を決めた。
CBSは後任を決めていなかった、それよりキルボーンが降板するとは考えていなかった。9月から年内一杯を後任探しと準備期
間に充てる事にし、選ばれたのがファーガソンだった。
2005年1月にスタートして足掛け5年。年間200本制作し、10週は休むパターンでやってきた事になる。スタンダップコメディは継続していて全米を回るし、出版の宣伝やサイン会の為にNYへ出張する。
レイティングでは同じ時間に放送するライバル、NBCの『レイトナイト ウィズ コナン・オブライエン (Late Night with Conan O’Brien)』がリードしていたが、ファーガソンは確実に視聴者を増やしてNBCと肩を並べるまでになった。2008年4月には初めて週間のレイティングで追い抜いた。NBCは2009年にホストの繰り上げを行い『レイトナイト』はジミー・ファロン(Jimmy Fallon)がホストを担当している。2009年末時点ではファーガソンの『レイトレイト』がリードしている。

#見劣りするもの
『レイトレイト』はワールドワイドパンツが制作する番組だ。レターマンはNYのエド・サリヴァン・シアターで収録するが、『レイトレイト』はロサンゼルスで収録する。キルボーン時代からそうだったというのと、LAの方がゲストブッキングに苦労しないというのもある。しかしながらレイティングが低いからか歴史の浅さ故か、予算の少なさは否めない。深夜トーク特有というか特徴とやらがある。『レイトレイト』にはそれが無い。ハウスバンド(生バンド)が無いし、1週間単位でみたゲストの総数が少ない。スケッチやスタントも少なく、「トップテンリスト」や「ヘッドラインズ」みたい作家泣かせの定番コーナーも無い。収録するスタジオも小さい、ロサンゼルスには大きなスタジオはいくらでもあるのに。HD放送についてはCBS自体が他より遅れ気味だが、それでも今年7月にようやくHD収録を開始、その収録分は8月末から放送している。タイトルコールのアナウンサーもいるが、毎回アナウンサーがスタジオ収録に臨む他番組に比べ『レイトレイト』は同じフレーズの使い回しでしかない。ライバルの『レイトナイト』はバンドも生アナウンスもHDも採用しているが、スタジオは旧いロックフェラービルの中なので縦長に狭い。

それを打ち負かすのはファーガソンのキャラクターなのだろうか。番組の進行フォーマットに沿って考える。

#Cold open
まずはコールドオープン。番組はオープニング映像より先にイントロダクションがあって、CMを挟んで本編が始まる。本編前にCMを消化する、日本では知り尽くされた手段をとっている。デスクには座らず、多くはモノローグ同様にトークでひとネタ喋ってCMとなる。たまに本編の感想・反省を述べる―つまりは予告の一種―、パペットを使って芝居を打つ、ヒット曲に合わせてスタッフ共々踊る―これは良く出来ている―など、いろいろと遊びを見せている。

#Show and tell
で、本編が始まる。そういえば歌詞の付くテーマ曲はここだけだ。前任のキルボーンも歌詞が無いテーマ曲を使用していた。作詞はファーガソンだ。歌が流れてアナウンサーによる呼び込み―使い回しのもの―があり、ファーガソンが登場する。
モノローグの時はデスクセットを隅に追いやり、ファーガソンはカメラに近寄る。スタジオに奥行きを見せる事が出来るが、異様に近い気がする。スタジオが小さく奥行きが無いから、でもある。また、カメラポジションが高めで見下ろすように設定して、広角で撮影している。監視カメラのような
一方、こういう事も考えられる。トーク番組で、一人で喋るにしても相槌をうつ誰かを必要としている。漫才で言えばツッコミだが、ツッコミは必要としない、同意が要るだけだ。レターマンはハウスバンドのリーダー・ポール・シェイファー(Paul Shaffer)に意見を求めるし、ABCのジミー・キメル(Jimmy Kimmel)は警備員がいつの間にかそのポジションに居座っている。
それがファーガソンの場合、いない。スタジオにハウスバンドもアナウンサーもいない、スケッチに登場する裏方はいるが相槌役では登場しない。そうして担う事が想定出来るのはスタジオの観客となる。実際のところ、モノローグやコールドオープンでは、ファーガソンは観客に向かうというよりかカメラに向かって喋っている。講談師が叩くようにカメラプロンプターを叩く。そして、ジョークをかました時に視線を斜めに―観客に向ける。

#e-mail/sketch
モノローグがあり、視聴者からのe-mailのコーナーがある。ファーガソンはデスクに座り、ラジオ番組のはがきコーナーよろしくe-mailを紹介し、ファーガソンがコメントする。一方で前述した様にスケッチは少ない。話数が多いのは1000回目でも放送した「ディア・アクアマン」などか。その代わり(?)ラリー・キングなどの変装キャラは多い。よぼよぼのお爺さんみたく相当デフォルメしているが、互いの番組にゲスト出演する間柄なので大人なのだ。

#Guest
ゲストが少ないのは予算とこれまでのレイティングから照らし合わせれば致し方ない。毎晩ミュージシャンが1組登場するのが常だが、毎日ではない。どうも別撮りが多いようだが、かといってジミー・キメルのようにライブハウスみたいな小屋をこしらえて雰囲気を醸すとか、そういう事もしない。それ「をしない」のか、それ「ができない」のかでは意味合いが違ってくる。

#What did we learn on the show tonight, Craig?
番組の終わりは「きょうの成果は?」と締めのコーナーがある。オープニングで子猫の映像が出てきて、その猫がギャグをかますのがメインと言っていい。絶対にその日の感想を言う必要はないので、CM消化のための時間稼ぎでしかない―30秒で締める事が多い。タイを緩め、足をデスクに放り出した、眠いのか酒を呑んだか「どうでもいい」クレイグが登場し、「じゃあね」といって終了する。ではなぜああいうエンディングなのか?彼が昔アルコール中毒だったからだろうか?というかアル中だった事は番組でネタとして使っている。

重ね重ね言うが、ライバルに比べて明らかに予算が少ない。それをカバーするのがファーガソンのキャラクターといえる。スコットランド出身でアメリカ英語を母国語とするアメリカ人からすればきつい訛りに聞こえる。変装キャラクターがそうだが、パフォーマンスも濃い―その反対はレターマンといえる。見る者を中毒にさせる魅力を持っているという事か。
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金曜日, 12月 11, 2009

OFFICIAL: Good Morning America 新アンカーにジョージ・ステファノポロスとジュジュ・チャン

9月、チャールズ・ギブソンの勇退に伴ってABCニュースの人事を大きく変更する事態となった。そして今週、人事を刷新する直前になって概要が明らかになった。
11月までに正式に明らかになっていたのはチャールズ・ギブソン(Charles Gibson)の『ワールドニュース』ポストにダイアン・ソーヤー(Diane Sawyer)が就くという事。
12月4日金曜、ワシントンポストの報道では、ABCのトップがジョージ・ステファノポロスへ『グッドモーニングアメリカ(GMA)』への就任をオファー。
6日日曜、RadarOnlineのクリス・クオモ(Chris Cuomo)移籍報道にABCスポークスマンが否定
7日月曜、番組冒頭でソーヤーが「私のGMA最後の一週間」と発表。
8日火曜、TVNewserがGMAニューズアンカーの交代があると報道。
9日水曜、GMAのニューズアンカー、クリス・クオモが番組内でGMAから離れて『20/20』へ移動する事を発表(9月にABCからFox Businessへ移籍したジョン・ストッセルJohn Stossel)に代わって)。
10日木曜、ABCが正式発表。ソーヤーの『グッドモーニングアメリカ』アンカーポストには『ジス・ウイーク』のジョージ・ステファノポロス(George Stephanopoulos)。ジュジュ・チャン(Juju Chang)がクオモに代わってGMAニュースアンカーを担当。
そして『ジス・ウイーク』はステファノポロスが引き続き担当する。

朝と夕方のニュース番組とニュースマガジン。ABCニュースが携わる主要3つの番組の顔ぶれを刷新した。

#GMAニューズアンカー/ジュジュ・チャン
ところでクリス・クオモはABCを辞めてNBCに移籍するのではないかという記事が出たが、そこまではしなくてもGMAからは離れる事になった。
後継のジュジュ・チャンは近年リポーターとして顔を見せるが、週末GMAのピンチヒッターもこなしている。3児の母、それもこれから育ち盛りだから、私生活も大変だろう。また、番組後半8時台の進行も任される。8時台は報道より暮らし/エンターテイメント関連の話題が多い。
実際にライバルのアン・カリー(Ann Curry, NBC)とラス・ミッチェル(Russ Mitchell, CBS)もクオモも同様にニューズアンカーはニュースを読むだけでなく、番組の進行もこなしている。注目すべきは政治記者としての印象が強いステファノポロスがアンカーである事。

#ジョージ・ステファノポロス、休み無し?
ステファノポロスは『グッドモーニングアメリカ』では7時台を中心に担当するという。8時台は顔を出すが、女性陣が仕切ってゆくのだという。
まだABCはステファノポロスに対するイメージを急に変えたくはないだろうし、彼は朝の番組を仕切るスキルを身につけてゆく途上にあるというのだろう。彼にレディ・ガガのインタビューをさせるのか、させてもソツないだろう、インタビューを生業としているのだから。彼はGMAゲストアンカーとしての経験はあるが、数える程度しかしないからセレブインタビューというのは「スタント」としては新鮮さや見栄えがある。だがそれを毎日するとなれば、引き換えに『ジス・ウイーク』司会者としてのイメージ・政治コメンテーターのイメージを損ないかねない。
一家がNYに移住すると言われ、日曜朝の『ジス・ウイーク』降板はオプションのひとつだったが、引き続いて担当する事となった。ABCニュース社長のデビッド・ウエスティン(David Westin)は後継が決まるまで両立する、としている。ステファノポロスは平日はコメンテーターとしてテレビに出ているので既に週6日勤務のをこなしているが、それでも平日は適度に休暇をとってきていた。
一方で日曜朝のトーク番組はにわかに忙しい。他のニュース番組ではコメントを求められ、週後半はゲストのブッキングや企画会議でトピックを考える。インタビューによっては相手の都合でワシントンから出張する為、融通が効かないとならない。CNNのウォルフ・ブリッツァー(Wolf Blitzer)は週6日生活―ワシントンからの放送―を9年間続けたが、ステファノポロスはいつまで続けられるだろうか。いばらくの間、平日はNY、金曜日にワシントンへ行って日曜日に戻る、しかし家族はNYにいる逆転勤族生活が待っている。
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新生ワールドニュース... ダイアン・ソーヤーの次

今回のABCニュースのキャスター交代劇。最小の異動で済ませるのなら、ただ単に『ワールドニュース(トゥナイト)』にステファノポロスを据えれば良いではないか、と今更思ってしまう。今、ABCは中長期の展望をしなくてはならない。
#WNTの変遷から考える事
WNTは1979年の開始当初、3人体制でアンカーを担当していた。キャリアや年齢で筆頭だったフランク・レイノルズ(Frank Reynolds)が1983年に引退(その年に亡くなった)。結果、3人の内で若手だったピーター・ジェエニングス(Peter Jennings)だけが残る事となり、20年以上WNTとABCニュースを牽引する事となる。
そのジェニングスは26歳で夕方のニュースを任された。しかし、若すぎたのか2年で降ろされた。その後は海外で記者として歩み、満を持して40から25年に及ぶアンカー生活を送った。

2005年にジェニングスが癌に倒れた時、翌年に中堅2人をアンカーに起用した。そのひとり、ボブ・ウッドラフ(Bob Woodruff)はイラクで頭部を負傷し危篤状態に陥り、長期療養を必要とした。一方でレイティングは低下し、もう一人のエリザベス・バーガス(Elizabeth Vargas)は産休を機に降板となり、朝の『グッドモーニングアメリカ』を担当していた重鎮チャールズ・ギブソンを起用する事となる。短期的に立て直す必要があったからの起用だった。しかし年齢64からの起用、リタイアメントを考えるようになり、3年で降りる事となった。
ソーヤーはいつまで担当するのかと先を考えてしまう。63、担当初日が64歳になる。十分に重鎮と言わる年齢に差しかかっている。GMAを10年間担当し、今度も10年は堅いだろう。勿論、GMAと違って呑気にはいられない。スケジュールでは大統領演説や臨時ニュースでスクランブルに出演し、GMAの頃より出張が多い。レイティングも未知数。彼女だってそんな事は知っている。ちなみに2008年の選挙シーズンではギブソン/ステファノポロスと並んで特番の司会を担当している。

#次の次の一手
感想としては、もうABCは手持ちカードを使い切ってしまったのだろうか。
実際、こんなに変えて朝・夕と日曜朝で首位を走るNBCを捕まえて追い抜かせれば大金星となるが、大失敗にもなりかねない。どうしても悲観的になってしまう。つまり、始まってもいないのに結果を見極めるのは難しく、実際に見極めが難しくなるような人選だ。新生GMAは選考を兼ねてリハーサルをしたというからソーヤーもリハーサルをしている筈だ。
不調に終わっても何年かは体制を変えずにゆき、急な変更は難しいだろう。でもいつかはソーヤーが引退する。ステファノポロスは安全策だ、実際にソーヤーの代理をする予定なのだから。両立がいつまで続く事が出来るのかという懸念は残る。外部から引き抜くのも手っ取り早いが、今はなかなか見当たらない。CBSが引き抜いたケイティ・クーリックも見た目が若くても50に差しかかる前の起用だった。

実績のある若手はそうはいない。ではABCニュースの内部を見渡すと。
バーガスは『20/20』アンカーを継続。ウッドラフは現場に復帰はしたが、焦らず急がずドキュメンタリーの制作に取り組んでいる。夜のニュースマガジン『ナイトライン』にはテリー・モラン(Terry Moran)、週末を見ればデビッド・ミューアー(David Muir)やダン・ハリス(Dan Harris)、ケイト・スノー(Kate Snow)などがいる。記者ではホワイトハウス担当のジェイク・タッパー(Jake Tapper、ポスト『ジス・ウイーク』の有力候補)などワシントンには有望株が多い。いずれもこれからが期待出来るのではないかと思うのだがどうだろう。
それとももう一度チャーリーに座ってもらおうか。
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水曜日, 12月 09, 2009

Outline: PBSニュースアワー

PBSは『The Newshour with Jim Lehrer 邦題:ジム・レーラー ニュースアワー)』のタイトルをシンプルに『PBS Newshour』に差し替える。だからといってジム・レーラーが番組から去るわけではないし、元来レーラーがいなくても他のメンバーでつつがなく進行できる。
起源を辿れば1975年にさかのぼる。ロバート・マクニール(Robert MacNeil)がアンカーで、のちにジム・レーラーもアンカーに加わった。
PBSのこの番組は日本でも通訳つきで観る事が出来るので、ウィキペディアにも概略はそれなりに書いてある。1日で扱うトピックは3-4個あって、まずニュースリポートで押さえて、次にゲストを何人か招いてのラウンドテーブルがある。ゲストが1人だとそれはお偉方だというところ。終わりあたりには社会文化ジャンルのトピックが多かったと記憶しているが、それはもうずいぶんと昔の話。
ニューズアワーのレイティングは元々低い。だが信頼するニュースソースとして選ばれている。ケーブルニュースのFoxに追い越されつつある。それでも生き残るには理由がある。つまり新聞でいう「高級紙」なのだ。夕方のニュースとは違ってひとつのニュースをリポートと討議で深く掘り下げる。高級紙は自然と市場規模は少なくなるが、選んだ視聴者はついてきてくれる。少なくとも視聴者は選んでいて、制作者はそれを信じて制作する。

1975年からおよそ35年続く番組だが、それを支え続けたのがレーラーとなる。当初からスタジオでのインタビューを番組の売り物にしていた。30年以上前はまだCNNなど無く、それにCBSのウォルター・クロンカイトはまだまだ現役だった。現在ケーブルニュースの多くがリポートとスタジオインタビューを並立させているが、それの大先輩という格好だ。
#PBSとしてのクオリティ
PBSというブランドイメージにも相乗効果を与える。例えばPBSの強力なコンテンツ、ドキュメンタリー。加盟局WBGR(ボストン)を筆頭にドキュメンタリーを制作している。アメリカでは1時間を1テーマに絞ったドキュメンタリーならディスカバリーやヒストリーなどあるが、それらが始まる前から秀逸なドキュメンタリーを制作している(ジャンルにおいても社会問題やタイムリーな話題を扱うPBSと専門分野のケーブルチャンネル、と棲み分けが出来る)。ちなみに他のネットワークは1時間のドキュメタリーは少なく、また毎週放送しているのはドキュメンタリーではなくニューズマガジンであって定義が異なってくる。
そしてニューズアワーもそれらドキュメンタリーと同等の評価を得る事が出来るのであれば、PBSの他番組にもブランドクオリティを引き上げさせる事が可能になる。ニューズアワー/ドキュメントのどちらかがクオリティが低下しても引き上げさせてくれるかもしれない。それだけPBSの番組に対するイメージは定着している。3大ネットの夕方ニュースよりレイティングは低くても信頼されている、というのだから。
#誰の放送か
それでもPBSのニュース番組は特異だ。基本的にPBSは全米でPBSに加盟する放送局を349有しているが、ローカルニュースを制作している放送局は少数で原則としてニュース取材をしていない。またPBS本体に直属の報道セクションも無く、すなわち国内外に取材の為の支局を持たない。よって取材はニュースアワーを制作するマクニール/レーラープロダクションを中心に独自に行っている(PBSの『ナイトリービジネスリポート (Nightly Business Report)』も同様)。
これを他のテレビニュースでいうと、シンジケーションが制作する『Entertainment Tonight』や『Inside Edition』などがあてはまる。どれもゴシップニュースを得意とするし、過去には『Hard Copy』など堂々とゴシップ視点で扱う番組だってあった。ニュース映像もマクニール/レーラープロダクションで賄うが、もちろん他のネットワークやAPやロイターなどの通信社の映像も使う。
そして、プロダクションが一手に引き受け、リポーターも少数だから1日で扱うトピックを絞り、トピックに時間をかけて取り扱う。だからインタビューが核となるのだ。何十年経とうと変わりない。
#パーソナリティー
くどくなるが、ジム・レーラーと引退したロバート・マクニール以外に多くの記者が活躍する。それぞれがリポートをまとめ、スタジオでのインタビューもこなすベテランだ。例えばグェン・アイフェル(Gwen Ifill, アイフィル)は討論番組『ワシントンウイーク』の司会も務め、2008年の副大統領候補者の公開討論の司会を担当している。ジュディ・ウドルフ(Judy Woodruff)は既にCNNのベテランアンカーとして知られていたが、2005年に移籍している。
しかし、少数である為、番記者制度は無い。海外特派員やホワイトハウス担当などの割り振りが無いのだ。ネットワークやケーブルニュースにはその制度は根付いているから、先述したシンジケーションのニュース番組に似ている。
また、専属のコメンテーターやコントリビューターがいない。ボブ・シーファーやチャック・トッドなど短い解説をコメントするスター記者がいるが、PBSはそれをしない。だからゲストを招いてインタビューを行うのかもしれない。

#リニューアル
12月7日に新生『PBSニュースアワー』がスタートした。初日はジム・レーラーとグェン・アイフェルがアンカーチェアーに座った。事前に明らかになっていたのがニューズブリーフの変更だった。これまでジム・レーラーが担当していたのをCBSから移籍してきたハーリ・シュリーバサン(Hari Sreenivasan)に譲り、その彼はスタジオからではなくスタッフルームから伝える。シュリーニバサンはウェブサイトの独自コンテンツ「Rundown」のアンカーも担当する事になっている。
意外だったのが、スタジオセットがリニューアルされている事だ。U字型のテーブルは変わりないし、これまで同様に2組配置している。背景のグラフィックも世界地図に違いないが新しいものになっている。
それより、配置が大きく変わり、大きな衝立を背に2組のテーブルセットが左右対称に配置されている事だ。レーラーの背後にある一枚板の背景の後ろにアイフェルがいる。彼女も一枚板の背景を背にしている。ちなみにその背景に描かれている地図は北アメリカとヨーロッパと、異なっているが。番組最後にスタジオの全体を撮る引きの画で締めるのだが、その時までそんなレイアウトに全く気付かなかった。番組の最中にレーラーを撮影していたカメラがゆっくりパンしてアイフェルを映し出すとか、そんな粋な演出はしない。そこがニュースアワーらしさといったところか。

#Timeline
The Robert MacNeil Report; 1975
The MacNeil/Lehrer Report; 1976(or 77?)-1983
The MacNeil/Leher NewsHour; 1983-1995
The Newshour with Jim Lehrer 1995-2009
PBS Newshour 2009
‘Report’時代の放送時間は30分、それ以降は1時間番組。公共放送で非営利だが寄付金で成り立つPBSであって、寄付者(大口は大手企業だが)の紹介(CMみたいになってしまう)があり、それを除けば45分を切るくらい、他の商業放送と同じ程度の放送時間となっている。
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月曜日, 12月 07, 2009

ジョージ・ステファノポロスに『グッドモーニングアメリカ』アンカーの打診

そんなこんなで、チャーリー・ギブソン(Charles Gibson)の『ワールドニュース』の引退は12月18日になった。21日がダイアン・ソーヤー(Diane Sawyer)の初登板が決まった。
そして、ジョージ・ステファノポロス(George Stephanopoulos)へ正式に『グッドモーニングアメリカ (GMA)』アンカーへの打診があり一家がNYに引越しの準備をしている事が分かった。子供たちの学校探しなどもしているとの事。ただ、そのオファーを正式に受諾しているわけではない。正式発表もまだだ。

とにかく外野がうるさい。次のGMAメンバーがしっくりこない、決まらないのであれやこれやと詮索している。
仮にステファノポロスがアンカーになれば、GMAの顔ぶれはどうなるのか。ロビン・ロバーツ(Robin Roberts)に男3人(クリス・クオモとサム・チャンピオン)というのはどうか、と思う。イメージが湧かない。Inside Cable NewsTwitterでロバーツとステファノポロスコンビを「水と油」とつぶやいたのは一理あると思う。ソーヤー/ロバーツコンビのGMAではベテランのソーヤーの個性が強く、彼女が中心だった。しかしロバーツ/ステファノポロスコンビだとどうなるのか?

#クリス・クオモ(Chris Cuomo)の去就
12月4日。ワシントンポストのハワード・カーツの報道では、ステファノポロスが加入したらニュースアンカーのクリス・クオモが抜けてポストにABCの女性記者を投入するのではないかとしている。例えとして週末のGMAを担当するケイト・スノー(Kate Snow)にリポーターのジュジュ・チャン(JuJu Chang)とビアナ・ゴロドリガ(Bianna Golodryga)の名を挙げているが、女性記者の中でも若手の名が挙がっている。
そして、クオモは別の番組、ニューズマガジンの『20/20』に就くのではないかと予想する。『20/20』は9月にジョン・ストッセル(Jon Stossel)がFox Businessに電撃移籍したばかりで、もしGMAから抜けたらそのポストに就くのではないかというのだ。2006年にGMAを担当する以前は同じABCのニューズマガジン『プライムタイム』を拠点としていた。
ところが2日後、レーダーオンラインがそのクオモがABCを退職するという記事を載せた。退職後はNBCのニューズマガジン『デイトライン』に移籍するという内容だ。これへの反応は早かった。ABCのスポークスマンはTVNewserへの取材に対し、クオモの辞職報道を否定している。
ではなぜこのように憶測が飛び交うか。皆してバランスとか考えて理想の人選を編み出しているのだろう。そしてポストレースが水面下で本人に関係せずに起こる。そこで人選レースから漏れるとさっさと次の行き先を考えるものだ。それを先取りした格好なのか?結局これは誤報扱いになっている。

#ロビン・ロバーツの契約
ロバーツの場合、2010年4月でABCとの契約更新があるが、この時に降りる気配は無いらしい。一方で次期GMAメンバーが一向に決まらないのも事実だ。これを機に双方のどちらかが契約に難色を示すかもしれない。

#ジョージ・ステファノポロスの今後
一方でステファノポロスは10月に『ワールドニュース』のサブ(代理)アンカーになる事が決まっている。そしてGMAへの打診。これで日曜朝の『ジス・ウイーク』もこなすとなるとどうか。ボブ・シーファー(Bob Schieffer)が似たような事を1年半続けたが、一家はNYに移住するとなると『ジス・ウイーク』は諦めるのだろう。ではワシントンのABCメンバーで誰が相応しいのか、秋に代理を担当したジェイク・タッパーか『ナイトライン』のテリー・モランかはたまた。

いずれにせよ、ダイアン・ソーヤーはGMAからいなくなる。それがABCの一大人事に繋がりそうな事は確かだ。

>>>RESULT: そして結果は
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日曜日, 12月 06, 2009

ABCニュースのアンカー人事異動 11月までの動き

ABCの『ワールドニュース』のアンカーがダイアン・ソーヤー(Diane Sawyer)になる。9月に発表し2010年1月に始動する。そうすれば彼女が担当している朝の『グッドモーニングアメリカ』を新たに担当するのは誰か。11月末になっても分からないでいた。
2006年。『ワールドニュース』のアンカーにチャールズ・ギブソン(Charles Gibson)を起用した。ややあって重鎮のギブソンに頼らざるを得なくなったからだ。彼はそれまで通算で約18年『グッドモーニングアメリカ(GMA)』を担当していた。2006年当時のGMAの布陣は共同ホスト(日本で例えるならメインキャスター)にギブソンとダイアン・ソーヤー、それにニューズアンカーから共同ホストに繰り上がったロビン・ロバーツ(Robin Roberts)の3人体制。
ギブソンが抜けて夏の合間は女性2人コンビで乗り切り、9月になって新体制を組む。ソーヤーとロバーツが共同ホスト担当、ニューズアンカーにクリス・クオモ(Chris Cuomo)、天気担当のサム・チャンピオン(Sam Champion)を起用。両手に華ならぬ両手に若旦那―事実、彼らの方が若い―体制となった。
そして2009年末にソーヤーがGMAから離れる。

GMAメンバーで一番キャリアとキャラクターを持つソーヤーがいなくなる、では新たな人材は誰になるのかと詮索した。TVNewserのオンラインアンケートはTruTVのアシュレイ・バンフィールド(Ashleigh Banfield)、CNBCスージー・オマーン(Suze Oman)らが上位に残った。
TruTVのバンフィールドはNBCで記者として活動した後、TruTVのアンカーに起用された。つい最近TruTVからABCニュースへの移籍が明らかになっている。年齢的に脂の乗った時期と言え、うまくいけばケイティ・クーリック(Katie Couric)のように長期間任せられるかもしれない。オマーンはCNBCで週末夜の『スージー・オマーンショー』を担当(投資アドバイスや経済ニュースへのコメントが主な内容)。NBC『トゥデイ』にもゲスト出演する身だが、CNNにも顔を見せるなどCNBCに拘束されているわけではない。

一方でジョージ・ステファノポロス(George Stephanopoulos)の可能性も高い。10月末、マーケットウォッチのコラムニストであるジョン・フリードマンは肯定的だがステファノポロスがGMAに移籍した場合を想定して、料理人にもインタビューをこなすだろうかとコメントしている。ステファノポロスは日曜朝の『ジス・ウイーク』を担当し、GMAにもワシントンからコメント出演しており、GMAの代打ホストに出た事もある。彼のキャラクターではハードニュース以外のセレブインタビューや暮らし関連の話題を扱う事は出来るだろうが、『ジス・ウイーク』の司会はどうするのかという不安が残る。GMAを担当するならジス・ウイークは担当しないだろうと言われている。

11月18日、ニューヨークポストのコラムにはこんな話が載っていた。ステファノポロスはGMAではなくて夕方の『ワールドニュース』のアンカーが望ましかった、とされている。この発言はABC関係者から聞いた話で、チャールズ・ギブソン、つまり退くものが後継者を要望いていた、という趣旨のコメントだとしている。ソーヤーよりステファノポロスを希望していた、と。ABCはこれを否定しているので真意は定かでない。しかし、少なからず『ワールドニュース』アンカーにはソーヤーよりステファノポロスが似合うと考える人がいるということ。それはその噂を聞いて「それも可能性としてはアリだったな」と思ってしまった私自身だったりするのだが。
実際にステファノポロス自身は2008年頃から『ワールドニュース』の代理アンカーを何度か担当しており、ソーヤーが担当する『ワールドニュース』では代理アンカーの筆頭とみられている。だが、ソーヤーは『GMA』のアンカーをこなしていたが『ワールドニュース』のアンカーをこなした事はほとんどない。あったかもしれないが、知る限りでは皆無。ギブソンはGMAを担当していた頃に『ワールドニュース(トゥナイト)』の代理を担当していた経験があり、それが急場でのアンカー昇格に繋がっている。そのギブソンは老齢で引退を考えたとき、後継候補として浮かんだのは誰だったのだろうか。

>>>NEXT: 打診を受けたのは
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日曜日, 11月 29, 2009

This Week in YouTube: シンクロナイズド・スーパーニュース (2003)

放送時期は不明。2003年か2004年頃ではないかと。

『スーパーニュース』のFNN夕方のニュースはこんな事を25年続けている。どんな事かと言えば見出し(ヘッドライン)を秒単位で管理している事だ。ウィキペディアでいろいろ細かく書いているが、何がなんだか分からなくなる事がある。こうして一発表示してしまうとスッキリする。

RELATED:シンクロナイズド・ディベーティグ
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水曜日, 11月 18, 2009

YouTubeで振り返るダブスとCNN


契約途中の今回の騒動。辞任なのか、解任なのか、見方によって憶測は変わる。辞任ならダブスが人権団体の圧力に屈した格好、解任ならCNNが根をあげた格好だ。ただ、ダブスの居場所が無くなった事だけは事実だ。

先週12日の木曜日、ウォルフ・ブリッツァーが4時間『シチュエーション・ルーム』を放送した。おまけの4時間目に突入する手前、その4時間目(午後7時台)をジョン・キングが担当する事を話題にして、最近の放送中のハプニングを取り上げた。

トピックとしては
(1)同性婚反対を公言して以来「お騒がせキャラ」扱いの元ミス・カリフォルニアがCNNのラリー・キングでプッツン
(2)Fox Newsのショーン・ハニティが、番組で使用したフッテージが間違っていたのをジョン・スチュワートのコメディ番組に指摘され放送中にお詫び
(3)CNNのルー・ダブスが突然の辞任
(オチ)NBCトゥデイの子供リポーターコンテストで優勝者が喜び余ってパニクった


金曜日は退役軍人のドキュメンタリーで、月曜からはジョン・ロバーツをはじめとしたメンバーが持ち回りの『CNNトゥナイト』を開始。エリカ・ヒルやトム・フォアマンなどが予定されている。

ルー・ダブスと同じスタジオで、音楽は『CNNニューズルーム』などからの使いまわしで対応している(右のクリップの冒頭にエンディングシーンがある)。番組名だって同名で2000年に放送していた事がある。ニューヨークに残されたスタッフも引き続き参加するだろうが、新番組がワシントンから放送するのかジョン・キングがNYに引っ越すのか、全くの白紙だ。

ダブスは月曜の『オライリー・ファクター』に出演。翌朝NBCの『トゥデイ』、水曜日は先述したジョン・スチュワートの『デイリー・ショー』に出演する。他にもプリントメディアなどインタビューに応じ、挨拶代わりのメディア行脚が始まった。


ところでヒスパニックからの抗議もある。ダブスは移民政策に関しては容赦ない、いわゆる伝統的保守のスタンスである。

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月曜日, 11月 16, 2009

MSNBCがブッシュをおちょくった日々

おちょくるとは言葉が悪いが、平たく言えばそうだった。
MSNBCは1996年に開局したのだが、同時期にFox News Channelも開局したのだが、2006年までちっとも成功していなかった。親分のNBCのニュース番組が視聴率でトップを独走するのがちょうど1990年代後半からで、現在も継続中なのに。
実際にはオンラインmsnbc.comはNBCニュースのサイトも同居して成功を収めているが、テレビ放送が収益を上げていない、というのが正しい。MSNBCの合弁相手マイクロソフトはオンライン事業の株を所有してもテレビ事業の株は売り払った。

2006年はMSNBCのテレビ事業が「なんとかなる」ターニングポイントとなった。ブッシュを標的にしたのだ。
キース・オルバーマンの『カウントダウン (Countdown with Keith Olbermann) 』でスペシャルコメントを始めた事だ。そこでのブッシュ批判は『カウントダウン』への認識をただのニュースショーから「モノ言うニュースショー」―どこかの新聞のキャッチよろしく―へ変えた。ブッシュ批判といえば2007年にダン・エイブラムスの「Bush League Justice」もそうだ。MSNBCはブッシュ大統領を批判する事でアンチ・ブッシュの票を集める事ができた。アンチ・ブッシュの殆どはリベラル層で、アメリカテレビニュースの常識から言えばFox News以外のテレビニュースはリベラルのパイの奪い合いをしている、とされている(2008年大統領選挙後の世論調査に基づく)。MSNBCはパイの奪い合いに正面切って挑む格好だった。

そのブッシュ批判にも伏線はちゃんとあった。たとえばオルバーマンのケースでは2005年から始まった「ワーストパーソン・オブ・ザ・ワールド」というコーナーだ。3人の失言や過激発言を槍玉に挙げて「最悪の人」賞を毎日選定するのだが、ビル・オライリーら保守の論客を標的にする事が多かった。とにかく同じ放送時間のライバル、ビル・オライリーには並々ならぬ対抗心を見せている。オライリー自身もMSNBCとNBCニュースを批判している。
このコーナーはせいぜい2分程度のコーナーで、それだけやったらすぐまたCMに入るので、番組全体で言えば弁当の香の物程度でしかない。香の物と言えば「Oddball」程度しかなかったが、種類を増やした格好だ。

#保守派キャスターの場合
翌年、MSNBCの保守派キャスターたちも揃って番組内で香の物をお裾分けする様になる。タッカー・カールソンの「ビート・ザ・プレス」。明らかにNBCのインタビュー番組『ミート・ザ・プレス』を意識させるが、テレビ番組のオフビートを引き合いに出している。
同じようにジョー・スカーボロも行っており、「Must See SC」というコーナー名―NBCのMust see TVから来る―を放送する。これ以外のコーナーでもスカーボロの番組ではハリウッドゴシップを取り上げてみたり、自身でスケッチパロディを演じる「スカーボロ・アンプラグド」をしてみたり、ミニコーナーに力を入れていた。
この変化、ひとつの可能性が言及できる。MSNBCが期待するのは視聴者の中には香の物を目当てにして、見る事で落ち着く、という生理現象だ。そして、「BTP」と「SC」はちょうどダン・エイブラムスがMSNBCを牽引していった頃と重複する。アンプラグドはエイブラムスの発案だ。

#ダン・エイブラムスが率いた2006-08
エイブラムスはNBCニュースの司法担当記者として出世する。2002年、MSNBCで自身の番組『エイブラムス・リポート』を担当するようになるが、2006年にMSNBCの社長―肩書きはゼネラル・マネージャー―として牽引する。この時に番組数を減らすなどしてスリム化を図り、自身もキャスターから裏方に専念し、政治ネタが武器になってゆく下敷きをつくった。
それが2007年、ドン・アイマスの失脚によりエイブラムスがスライド登板する事になった。スカーボロの後任という格好だが、彼なりのコーナーで足固めする。それが「Beat the Press」や「Winners and Losers」などだ。
そして、2007年12月からは不定期で「Bush League Justice」を開始。ブッシュ政権の総決算とでもいうべきか、このコーナーは番組の終焉まで続いた。もちろん『Countdown』でもブッシュ批判は続いており、ブッシュの行動をチェックする「Bushed」も開始、「MSNBC=ブッシュ批判」という図式が生まれる。

しかし、2008年にエイブラムスの時代は終わりを告げる。タッカー・カールソンは2008年3月に終了。後任のデービッド・グレゴリー(現在『ミート・ザ・プレス』のインタビュアーだ)がモデレートするのは『Race for the White House』と、完全に選挙戦を意識した内容だ。同時期、エイブラムスは内容は変わらないものの『Verdict with Dan Abrams』として衣替え、とてもポップなイメージに変わった。しかし、8月をもってVerdictも終了する事となった。

#風刺かニュースか
プライムタイムに放送していたスカーボロ/カールソン/エイブラムスには共通項が見受けられる。ライバルを含むテレビ・ラジオ、プリントなどメディアへの風刺であり、平たく言えばおちょくりである。
そして、参考となる成功事例があった。コメディ・セントラルの存在だ。『デイリーショー』やそのスピンオフ『コルベアー・リポート』はニュースの話題を振りまく人だけでなく、テレビのキャスターやホスト・コメンテーターの発言をネタにして風刺し、批判する。他局の深夜トーク番組でも常套手段として使用しているが、コメディ・セントラルはこれに専念して成功した。
MSNBCの場合も原則としてこの流れに則っている。ただ、観客がいないのでそれほど笑い声は聞かれないが。そうして「批判/風刺を強めて視聴者を集める」作戦は成功した。
したはいいが、現在カールソンとエイブラムスはMSNBCで活動していない。カールソンはシンクタンクの活動を引き受けて、時折Fox Newsにゲストで登場する。エイブラムスはNBCの司法アナリストの肩書きはそのままに、それよりオンラインビジネスの起業家としての活躍が目立つ。残るは朝に移動したスカーボロの『モーニング・ジョー』しかない。

#リベラルでなくて
2008年の大統領選挙で「オバマ寄りだ」と批判を受けたのは実際にそうだったからだけでない。ブッシュおよび保守論客をおちょくったせいで、余計に批判させる動機付けを作ってしまったのだ。
本当にリベラルにシフトするにはまだまだ時間がかかるのだった。

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金曜日, 11月 13, 2009

CNNダブスの後任はジョン・キング @JohnkingCNN in for @LouDobbsNews

11月11日にルー・ダブスが「CNNを降りる」と発言して、CNNを去った。
あまりに突然の出来事だったが、ちゃんと後任は見つかっている。ジョン・キングだ。
12日木曜はウォルフ・ブリッツァーの『シチュエーション・ルーム』を1時間拡大して放送。13日は予定してあった退役軍人デーにちなんだドキュメンタリーを放送する。翌週以降はまだ未定だが、持ち回りで対応するのだろう。

ジョン・キングは日曜朝の『ステート・オグ・ザ・ユニオン』を担当して、毎週どこかの州で市井の人たちと井戸端会議よろしく座談会をするのがお約束で、それも年明けころで50州を制覇する。ジョン・キングは年内は日曜朝を担当し、年明けいつかは未定だが夜7時を担当する予定だ。
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木曜日, 11月 12, 2009

ルー・ダブス、CNNから離脱

それは突然やってきた。
CNNで問題児扱いされていたルー・ダブスが11日の放送でCNNを辞める事を明らかにした。スタッフらには当日リークがあり、放送直前にNYTimesのメディアデコーダー降板を速報し、TVNewserでもCNNや関係者の反応を交えて掲載している。

とても、あっさりとした幕切れだった。CNNの開局当日から働く唯一のアンカーマンはCNNから姿を消した。

YouTuberのアップロード映像で声明を披露。スクリプトを一番最後にメディアデコーダーの書き起こしを転載するが、半年前のBirtherコメントが尾を引き風当たりが強く、居たたまれなくなったのだろう。それ以外思い当たる理由はあるだろうか。CNNはどう思うか。ジョン・クラインは早速はなむけの?コメントを出しているが。開局以来のパーソナリティーだったダブス。ビジネスを専念するとか言って一時期CNNを離れたが、結局CNNは彼の復帰を懇願した。今度はどうだか。
いくら今年に入って、というかBirtherコメント以来数字は思わしくなかった。あれを機に視聴者数は減ったのだ。

ただ。ただでさえ面子の揃わないCNNといえる今。ルー・ダブスが担当していた7時台、これを誰が担当するのだろうか。TVNewserの情報ではCNNの編成担当はリック・サンチェスの放送を1時間増やして3-5pmとし、ウォルフ・ブリッツァーの『シチュエーション・ルーム』を1時間繰り下げて5-8pmとするようだ。しかし、これが一時しのぎなのか、正式にしばらくこの体制で行くのか分からないし、レイティングに変化が現れるかも未知数だ。

一方で、1年前の10月を振り返ると、グレン・ベックがCNNのヘッドラインニュース(HLN)を降りてFox Newsに移籍することを発表した。この時点でベックのHLNでの放送は中止になり、代わりに暫定としてジェーン・ベレス・ミッチェルがホストの席に就いた。彼女は現在も担当し、開始から固定視聴者の上乗せに成功している。

そして、ベックの事例からもすぐ思い浮かぶのは、既に噂されているダブスのFoxへの移籍だ。この数ヶ月でドン・アイマスの新番組に加えてABCの20/20で知られるジョン・ストッセルも加入。ストッセルが経済記者だったなんてこの時初めて知ったが。これでFox Business NetworkもCNBCの尻尾を捕まえられる事が出来そうな状況を着実に近づけている。


ダブスはしばらくCNNが制作に関与しないラジオ番組の放送のみで活動を続けると言う。
しかし、彼のCNNのウェブサイトはいつリンク切れになるのだろうか?


Lou Dobbs announcement on Lou Dobbs Tonight
This will be my last broadcast here on CNN, where I’ve worked for most of the past 30 years, and where I have many friends and colleagues whom I admire deeply and respect greatly.

I’m the last of the original anchors here on CNN and I’m proud to have had the privilege to helping to build the world’s first news network.

I’m grateful for the many opportunities that CNN has given me over these many years. I’ve tried to reciprocate with a full measure of my ability and my energy.

Over the past six months it’s become increasingly clear that strong winds of change have begun buffeting this country and affecting all of us, and some leaders in media, politics and business have been urging me to go beyond the role here at CNN and to engage in constructive problem solving as well as to contribute positively to the great understanding of the issues of our day. And to continue to do so in the most honest and direct language possible.

I’ve talked extensively with Jonathan Klein — Jon’s the president of CNN — and as a result of those talks, Jon and i have agreed to a release from my contract that will enable me to pursue new opportunities.

At this point, I’m considering a number of options and directions, and I assure you, I will let you know when I set my course. I truly believe that the major issues of our time include the growth of our middle class, the creation of more jobs, health care, immigration policy, the environment, climate change, and our military involvement, of course, in Afghanistan and Iraq.

But each of those issues is, in my opinion, informed by our capacity to demonstrate strong resilience of our now weakened capitalist economy and demonstrate the political will to overcome the lack of true representation in Washington, D.C.

I believe these to be profoundly, critically important issues, and I will continue to strive to deal honestly and straightforwardly with those issues in the future.

Unfortunately, these issues are now defined in the public arena by partisanship and ideology rather than by rigorous, empirical thought and forthright analysis and discussion. I’ll be working diligently to change that as best i can. And as for the important work of restoring inspiration to our great free society and our market economy, I will strive as well to be a leader in that national conversation.

It’s been my great honor to work with each and every person at this wonderful network. I will be eternally grateful to CNN, to Ted Turner, and to all of my colleagues and friends, and of course to you at home. I thank you, and may God bless you.
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金曜日, 11月 06, 2009

This Week in YouTube: ITV News revamp

今週、ITVのニュース番組がグラフィックを更新した。
3DCGのスタジオは変わりないが、青を基調としていたデザインは黄色が際立つものへとなっている。
また、特に凝ったタイトルなんてないイギリスのテレビニュースという前提にあっても、呼び名が変わるのは大きいことらしい。20年ほど変更していなかったし、2004年からはITVニュースというブランディングを重視して差異は無くなったし、現在もそうだ。
実際には冒頭でナレーターがどう紹介するかの違いでしかない。Morning News からNews at 5.30、Lunchtime NewsからNews at 1.30、Evening NewsがNews at 6.30という案配に。

近年、いつのまにかアリスター・スチュワートが重役を任されている。今年、ロンドン・トゥナイトを降りたが、代わりにそのあとの全国ニュースを担当している。それ以前から昼のニュースも担当しているし、ITVがニュースチャンネルを手がけていた時に午前中の顔だった。

順に朝から夜まで。5.30、1.30、6.30、News at Ten

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木曜日, 11月 05, 2009

OUTLINE: Sky News

OUTLINE of the Week
Station: Sky News (1989 - current)

1989年に開局したSky Newsはイギリス初、そしてニューズ・コーポレーションが初めて手がけた24時間ニュースチャンネル。同じニューズコープが手がけるアメリカのFox News Channelが比較対照されやすい。Foxがビル・オライリーやグレン・ベックらに象徴するトークやパーソナリティー性を活かしているが、Skyはそうでなく、通常のニュース報道がほとんど。そのあたりは国柄の違いか。
イギリス国内はじめ海外に支局を置いて活動している。放送エリアはイギリスのみならず海外でも視聴できるが、あくまでイギリスからの視点で運営している。
ニューズコープが日本で衛星放送事業に進出した事で日本でもスカパーを通じて視聴する事が出来た。それも5年程度か、Fox Newsに吸収される格好で放送し、そのFox Newsもスカパーでの放送は終了している。
スタジオは簡素なもので、背景にコントロールルーム(副調整室)を映しているもの。ところが2001年10月にスタジオを一新。スタジオの奥がオフィススペースで、さらに壁面に32面のビデオウォールを設置。ビジュアルを活用した演出を行うようになってゆく。
2005年10月に社屋を移転し、広大な敷地にニュースルームとスタジオが一体となったオフィスとなる。ビデオウォールはLEDで3×14メートル。とにかく凄いが、かえって演出として使いづらくなった感は否めない。キャスターを増員したり、久しぶりに新番組に取り組んだりと攻めの姿勢が目立ったが、攻めすぎた感は否めず、試行錯誤を繰り返して2007年からキャスターを1人で進行することになる。
2007年10月にはオンラインで同時放送を目玉のひとつとする『Jeff Rnadall Live』と『Sky.com News』を開始。経済ジャーナリスト、ジェフ・ランドールのインタビュー番組と、マーティン・スタンフォードがインターネット上で話題のニュースやムーブメントを紹介する番組。ニュースイベントが起こればインターネットでも放送したり、ニュース速報を終始画面下のニュースティッカーに表示する、など速報性に重視するようになる。

そのSky Newsが掲げるスローガンはロイヤル・テレビ・ソサイエティが定めるNews Channel of the Yearを使用することが多かった。ライバルがBBC News 24位しかないので受賞しやすかったこともある。2年連続で逃すが、その2006年からFirst for Breaking Newsと名乗っている。
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水曜日, 11月 04, 2009

CNNアブダビ @CNNAbuDhabi、始動

今年、CNNインターナショナルにとっては変革の年だ。スローガン「Go Beyond Border」へ変更、相次いで新番組を投入。そして新しい編集拠点を誕生させた。それが中東・アブダビだ。

11月2日からの1週間、インタビュー番組『アマンプール (Amanpour)』をアブダビから放送。3日、アブダビから放送するニュース番組『プリズム (Prism)』がスタートした。日曜(45分間)と月曜から木曜(30分間)の放送と少々変則的だ。テーマ音楽は通常のニュース番組『ワールドリポート』と同様の仕様だ。
スタン・グラントが『プリズム』のアンカーを担当する。グラントは2001年からCNN香港スタジオでアンカーを担当。CNNから離れた後、オーストラリアSBSに移籍するがCNNに記者として復帰、アフガンやパキスタンなど南アジアを拠点とした。そして今年さらに西へ移動し、アジアの西端・アブダビでアンカーに復帰することになる。

CNNは21世紀になって、アラビア語圏を意識することになる。アルジャジーラの存在だ。
アルジャジーラはアブダビから少し離れたカタールの首都・ドーハに拠点を置く放送局だ。アラビア語で最初に成功したニュース放送局であり、中東のアラビア語圏で人気を誇っていた。それが2001年9月11日のテロ事件で首謀者とされるオサマ・ビンラディンの声明テープをアルジャジーラが手にすることになる。
ビンラディン・テープ以後、アメリカ政府はアルジャジーラをけん制し、アメリカメディアもけん制する。一方でアルジャジーラのインタビューを受け入れる。アメリカの対テロ戦争のアピールとなるとして。
日本ではビンラディン・テープを機に一目置かれる存在となるのだが。

これ以降、CNNはアラビア語サイトCNNアラビックを開設。BBCがアラビア語放送を再挑戦したが、CNNはアラビア語放送は行っていない。一方、英語番組で中東地域の風土や時事問題に焦点を当てた『インサイド・ミドルイースト (Inside the Middle East)』やビジネス番組『マーケットプレース・ミドルイースト (Marketplace Middle East)』を開始した。所詮ロンドンを拠点としている事には変わりなく、アメリカが関心を持つ中東ニュースと言えばイラク戦争やパレスチナ/イスラエル問題程度しかないのだった。

そして、中東からデイリーのニュース番組を開始するに至り、アブダビのtwofour54とパートナーシップを結んだ。twofour54が設けたビル内にCNNが入居。BBCやフィナンシャル・タイムズも入居するという。
アブダビはカタールやドバイと同じく、オイルマネーバブルで注目される国だ。CNNがアルジャジーラを意識するなら、カタールと競争するならちょうどいい国だ。なにせ、アルジャジーラは長年アブダビも属するアラブ首長国連邦(UAE)から執拗なまでの嫌がらせを受けてきたのだから。

放送時間もちょうどいい時間だった。アジア圏とヨーロッパ圏のプライムタイムを挟む、現地時間の午後9時。エジプトは19時、フランス(CET)18時、イギリスだと17時からになる。中東の話題を中心に放送するのだろう。これが軌道に乗れば朝の時間帯を目論める。『アンダーソン・クーパー』のあとの2時間、香港から『ワールド・リポート』を放送しているが、これをアブダビからの放送にすればアブダビ午前8時、エジプト午前6時からだ。ただ、中東地域はサマータイムの導入が国によって異なってくる。案外ややこしい。10年前なら地域によってスケジュールを調節していたが、それをするだけのメリットがあるのかも気がかりだ。

いずれにしても中東は重要な地域だ。たとえばアートシーンでは「オイルマネー」のおかげで、ミュージアムバブルとでも言うべきか、この数年で数多くの美術館が建設される。それもルーブルやグッゲンハイムなど著名美術館が暖簾分けとして進出する形で、美術品を買い占めなくても欧米の美術館が抱え展示しきれないコレクションを借り切る形式が目立つ。経済成長を背景に、社会や文化面で中東は注目を浴びる。そしてそれが経済成長を背景に出来るなら、マルチチュードが世界をリードするかもしれない。そのマルチチュードは国境を越えた情勢に精通し、そうなろうとしている。
こうした中東事情をいち早く世界に伝える機能を担う事は可能だ。既存の番組群が果たす役割がそうだからだ。CNNのアピール次第では英語も理解出来るマルチチュードを取り込む事が出来るだろう。が、アラビア語の方が市場規模が大きいので過度に期待できない。
一方で国同士の関係はパレスチナよろしく、困難も抱えている。それはアブダビの外でおこっている事だ。

これまで通りにロンドンやアトランタのCNN本部で放送した方が情報も集まるだろうし、中東に散らばる支局や特派員との連絡も取りやすいだろう。アブダビとのネットワーク構築は運用して慣れる事が最善で最良な手段だ。また、CNNの遊軍記者たちは中東に拠点を置いていない。
アブダビで放送する事は「CNNは中東に注目しています。」と言うアピールの為だけにならず、放送する事で生み出される意義を見出す。これは果たして何なのだろうか。それがランニングコストを計上しても利益になるものになるのだろうか。
アジア・太平洋地域同様に、中東もアブダビに拠点を置けばそれで良い、という発想では一筋縄にはいかない。


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SAPIO on 新聞・テレビメディア

雑誌SAPIOが「日本のジャーナリズム批判」という常套特集を掲載。誰しもが雑誌でマスコミ批判をしているので、ネタは数多あるのだろう。しかし、朝日新聞ネタとSAPIOに登場する三橋貴明が産経新聞のリストラを評価したこと以外、目新しさに欠ける。
メディア各社はこの深刻な危機にどう対峙しているのか ジャーナリズムは変わらなくていいのか 新聞・テレビの言葉に出せない「裏事情」と題した特集の事情は次のとおり。

朝日 - 大阪本社建設と旧態依然体質
読売 - ナベツネの論調と今後
日経 - 記者のモラル低下
毎日 - 「公的資金」発言
産経 - リストラ断行、押し紙禁止
NHK - 『JAPANデビュー』問題
日テレ - スポーツ事業の方針転換
TBS - 報道の低迷、放送外収入
フジ - 「社員株主」総会、(意外な)視聴率低迷
テレ朝 - 「放送外収入」番組、生え抜き社長
テレ東 - 記事すらされず(!!)

そして、この特集のヘッドライナーは上杉隆の「記者クラブ解放」運動となった。
記者クラブについては私も意見があるのでさておいて、雑誌が行うマスコミ批判に高確率で上杉隆が登場している。他の人を雇わないのかと考えると、思い浮かばない。インターネットの、ある程度の時間の余裕があって匿名のペンネームで活動している2ちゃんねるやブログの中の人しかいない。
そして、長野県知事を務めた田中康夫が記者クラブの撤廃を試みた事例がある。研究テーマとしては面白い。県知事を辞めて時間が経っているし、この時にアメリカのブロガーが記者として活動しだす頃。
そのあたりをSAPIOが取り上げないのは、決して新聞・テレビを真剣に変革してほしい思いがさらさら無いからだ。相変わらずの体質でい続けることでSAPIOはネタ切れの時の為の「マスコミ」批判をする余地を残すことを選び続ける。上杉記事を参照すれば民主党が本気で記者クラブ制度を壊しても、雑誌が記者クラブに所属する必要性は無いだろう。

雑誌は「雑誌v新聞・テレビ」という対立構図を残す事を選択する。そうする事によって雑誌自身の問題である部数減少に歯止めを欠ける事が出来るのなら、勤しんで選択するだろう。
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火曜日, 10月 27, 2009

You are not alone = 人を惹きつけさせる言葉

日本に普通の保守論壇御用達雑誌が残っているかどうか、私には分からなくなる時がある。SAPIOの最新号はサピオをはじめとする出版社雑誌vs新聞テレビという毎度おなじみの構図を持ち出している。そのどこが保守なのか、それよりサピオを保守系雑誌といったのは誰なのか、私だけか。

10月6日発売分の雑誌『SPA!』は「民主党政権誕生でネット右翼はどこへ行く」と特集を組み、ネット右翼を自負する何人かを取材している。SPAでよくあるインタビュー集という形式で。その中ではネット右翼たちは普段はたいして変わりのない一般人であること、決して画一的ではない事が浮かび上がる。SPA!で紹介されたブロガーのひとり、よーめんは自身のブログ一水社や右翼活動家の発言へ反論???というかおちょくっている。ま、こんなものだろうか。

世の中、強固な一枚岩勢力なんてそうそうない。たとえばアメリカ大統領選挙の指名レースは同じ党派でも主義主張がまったく異なる事を知らしめる。2008年の共和党候補者選びは(ちっぽけな知名度の)マイク・ハッカビーに注目されたが、彼以外の候補が教条レベルでリベラル寄りだと判断されてしまったからだ。ロン・ポールも共和党か。

ところで、なぜ日本でもアメリカでも思うことがグレン・ベックのキャッチコピーのひとつに体現している。
「You are not alone」きみはひとりじゃない、と。
これは日本でも効果的だ。2ちゃんねるやニコニコ動画。特にニコ動のコメントは「みんなでテレビを見るかのような」雰囲気になると自己PRしている。ひとりじゃないんだ。と。
実際に一人じゃないことを実感するのはシカゴやワシントンや全米各地で行った3月15日や9月12日のティーパーティームーブメントであり、翌月11日のナショナル・カミングアウト・デー(ゲイやセクシャルマイノリティ)のデモであって、インターネットの掲示板やブログのコメント機能だったりする。きみはひとりじゃない。

また、たとえばテレビで出てくるのは「わたしはひとりかもしれない」という人は出てこない。何かしらの特徴を持った人たちだ「かも」ではなく「実際にマイノリティ」なんだ、と。ドキュメンタリーの主人公も『笑っていいとも!』の素人も。だから何かしらの方法で結束させる必要があるのだ。それが特にリぶるズムよりコンサーばティズムの方が必要だというのか。FNCはFox Nationというコミュニティサイトを開設している。ハフィントン・ポスト同様、他のニュースサイトを引用したものが多い。

日本だとどうか。ネット右翼というコミュニティを形成する行為は「あなたはひとりじゃない」ことを連帯することを意味する。特に紙媒体は連帯感を特徴付ける。群衆に危機感を芽生えさせる事で連帯を促す効果があるし、それを助長してあげればいいのだと知っているからだ。
「あなたがいま感じた欺瞞は、決してあなただけが感じたではないのです。」
あなただけではないのです。とは、なんとも胡散臭い使い回しになってしまうが、「You are not alone」をかの「草莽崛起」と結び付けても決しておかしくない。意味は通じる。ただの、連帯する動機付けの為のコピーに過ぎないという。
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土曜日, 10月 24, 2009

Video of the week: Nationwide

Archive of the day
Program: Nationwide
Station: BBC One (1969 - 1983)

BBCが1970年代に放送していたニュース&ニューズマガジン
とにかくテーマ曲が。完全版はTVARKBBC Newsページにて。

First days
モノクロアニメ、簡単なコマ。それがジャズにぴったりくると。

Second
1970年代になってカラー化。ミュージックも更新した。

Fourth
1980年代になってからのバージョン。最後にちらりと顔を出すデービッド・ディンブルビーは政治番組の顔となる。
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木曜日, 10月 22, 2009

TIMEの表紙、グレン・ベックの「9/12」デモ @GlennBeck

保守派コラムニスト、ベストセラー作家、ラジオ番組パーソナリティー。2006年2月、HLN(当時はCNNヘッドラインニュース)でテレビ番組に進出。2008年10月―ちょうど1年前―にCNNと決別しFox News Channelに移籍、2009年1月に再スタートを切った・・・。
いま、アメリカで最も怒れる男、グレン・ベック (Glenn Beck)が雑誌タイムの表紙を飾った。ただタイムの見出しは「イカれる男(Mad Man)」だが。いかにも憎たらしく舌を出して、とてもベックのキャラクターを活かしきった表紙だ。とにかく今、グレン・ベックなくしてアメリカは盛り上がらない。

どうも過去にラッシュ・リンボーが表紙を飾った時とオーバーラップさせるウェブサイトがちらほら。たとえば NewsBustersとか。

彼の番組『Glenn Beck』では民主党オバマ政権と真っ向から対決姿勢を見せている。Fox News『Fox and Friends』で「オバマは人種差別者」発言をして、広告主から逃げられたのはもう過去の事だ。クビになるか心配したのがもう無かったかのようだ。

休暇から帰ってくると番組独自の企画も取り組む。8月24日から5日連続で現在降りかかる問題を振り返る「ニュー・リパブリカン」では「保守・共和党」の立ち位置を再確認する機会となった。オバマ政権、むしろバラク・オバマへの批判か。翌週はバン・ジョーンズへの疑惑を取り上げている。これは後述する。

#You are not alone, 9/12project
3月の「ティー・パーティー」ムーブメントにまで遡る。15日がティー・パーティーデモ本番だが、13日に番組は正式に企画として「9/12プロジェクト」を立ち上げた。9 つの原則/道義(Principles)、 12の価値感(Values)だ。もちろん9/11、つまりアメリカ人なら誰しもが「同時テロの日」を連想する。そして9/11でなく、その翌日「9/12」を選んだ。11でも12でもいい話で、キーワード集めなんて調整がつくのだ。9つのプリンシプルにはジョージ・ワシトンとトマス・ジェファーソンの言葉を引き合いに出していて、バリューは2月の番組で「You are not alone」と題したコラムで既に登場している。
最終的には9月12日、ワシントンなどでデモ集会を開催。ベックが特別番組を組んで生中継した。もちろん主催はFNCではないし、ベックでもない。しかし、わざわざベック自身が、土曜日の、普段の放送時間帯でない昼間に、他のレギュラー番組を移動させてまで放送する必要がどこにあったのか。リポーターを派遣させて群衆に発破をかける必要性はどこにあるのか。あ、そうではなくて、群衆はすでに盛り上がっていたのだ。

ついでにFNCは「このムーブメントをFNCしか中継しなかった、CNNやMSNBCはしなかったではないか」という新聞広告を掲載。これにCNNが反論するといういざこざもあった。

#希望と怒り
ではなぜ9/12なのか。もっとも分かりやすいのは12バリューのキーワードとしてでも登場するが「希望」だ。2008年の秋、突然の宣告により不況の波が襲い、2009年になって共和党の再生が叫ばれて、オバマは社会保障や国防政策を大幅転換しようとしている。保守や市場原理主義者、または中間層。彼らが持つこれに反発する怒りと、希望の光を掴み取ろうとする潜在意識、これをイベント化する事で表になって出てきた。
怒りの矛先は自由主義経済でなく、福祉国家制度へ移行する行為になのか。そうでなければ共和党政権は何をしてきたと主張されるのか。ブッシュはイラク戦争をしなかったらもっとマシだったかもしれない、というのはもう遅い。共和党候補で財政再建の実績があるミット・ロムニーを選んでいたら、とか言っている場合ではないのだ。だから、矛先はホワイトハウスへ向かうのだ。
制度改革で恩恵を受けるのはこれまで加入率の低い都市生活者であり、ヒスパニックやアフリカン・アメリカンの比率が高く、民主党支持者が多く、都市生活者は案外低所得者だったりする。ある程度給料をもらっているなら郊外で暮らして自動車通勤をするのだ。とは言ってもNYは違う。
オバマの医療保険制度改革への批判は大きな政府を目指す事への批判であり、保守層・共和党支持者は増税や財政危機に脅かされている。―もちろん財源問題などの理由もあるが、負担を強いるのは中流以上の階級で、近年の共和党支持者に郊外に住む中流層が多い―
新自由主義とは経済・社会政策において「小さな政府」を目指し、税負担を軽減することが経済発展につながるとしたのだ。オバマの改革はこの30年の方向性とは明らかに違ってくる。

#ベックの挑発
普段、番組の進行は形式化されているが、このように特別企画にも注力している。その多くは保守の立場をとる彼が民主党オバマ政権やリベラルのニュースメディアなど相対する立場へ突きつける疑問であり、ある種の「対決」である。ただ、多くの人は対決と感じてはいないだろう。リベラルに立場を置くものがそう感じ取るだけだ。もしかしたら子供の駄々こねかも知れない。

ベックの言動は注目されている。それは彼のポリシーに共感するかしないか、それ以前の次元で起こっている。とても挑発的だからだ。
それは1週間の休暇が明けた8月末、効果が明確に現れる。

最後に律儀にジョン・スチュアート。彼の『デイリー・ショー』で9/12デモとFNCをおちょくっている。10月12日にはLGBTのデモがあったのだが、これと比べたら面白い。特にFNCのアンカー・リポーターが馬鹿げて見えてくるが、つまりそんな程度のものだと言う事かと思わせる。たとえばゲイデモではABCの中継映像を使用した事に対してスチュアートは「カメラクルーは!?支局から窓越しに撮れるじゃないか!!」と言う。確かにそうだ、スタジオからキャピタル・ヒルを眺めるロケーションにあるのだ。なぜ中継車を手配しなかったのか。理由なんて、、、そんなものだ。
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火曜日, 10月 20, 2009

英、テレビ党首討論が実施へ? その2 #LeadersDebate

Sky Newsが進めている次期総選挙へ向けた党首討論(Leaders Debate)。Sky Newsは労働党党首であるブラウン首相が党首討論への参加を認める報道をした。実現に向けて着々と進んでいる。
今回のテレビ討論の話で、イギリスの報道機関は概ねアメリカの大統領選挙を引き合いに出している。Sky Newsは相次いでキャンペーンを行って実施へ向けて足慣らしを行っている。インターネットで開催実現の署名を集めを行い、そこで署名すると公開される。2008年の大統領選挙でマケイン×オバマ討論を仕切ったCBSのボブ・シーファーがCBSワシントン支局からインタビューに答えたかと思えば、元CBSのダン・ラザーもインタビューに答えている。が、彼はCBSと法廷で争っている身なのでFox Newsのスタジオから出演した。Sky NewsはFox Newsより先輩に当たり、FNC開局以前からCBS Newsと付き合いが深い。

アメリカのテレビ討論は1960年のニクソン―ケネディに始まり、テレビ中継を観た有権者はケネディに軍配を上げた話は有名で、この討論を実現したCBSのドン・ヒューイット(2009年死去)が「パンドラの箱を開けた」と述べており、金のなる政治イベントのメディアイベント化が進んだ。2008年は3回の大統領候補討論、1回の副大統領候補討論が行われている。それ以外に候補者が顔をあわせる機会はほとんど無い。
「あの夜、テレビと政治はお互いにどんなに役立つか気づいてしまったんです。彼らにとってテレビは最も効果的な宣伝媒体。一方、テレビにとっては底なしの金づるでした。テレビに出ずには大統領選挙は戦えないと気づいたあの瞬間、アメリカの政治はダメになってしまった。私はパンドラの箱を開けてしまったんです。そして、政治はマネーゲームになってしまったのです」2001年3月、『筑紫哲也News23』筑紫へのインタビュー(金平茂紀『テレビニュースは終わらない』所収)

イギリスでこれまでそういった討論会が行われてこなかった。
正午、庶民院で行われる「クエスチョンタイム」。その中でも水曜正午、与党首相が野党党首らの質問に答える「プライムミニスター クエスチョン」はSky NewsやBBC2などテレビ・ラジオで中継されている。これは日本の国会がお手本としたものだ。ちなみに首相は答えるのみで、「逆質問」は許されない。また、BBCを例に挙げると『クエスチョンタイム (テレビ番組)』や『エニー・クエスチョン? (これはラジオ)』など政治家同士や政治家と視聴者が参加するトーク/インタビュー番組は数多くある。
しかし、日本の衆議院と同様に「解散」がある為に選挙の日取りを特定することは難しく、選挙を大々的に盛り上げることは無かった。出来なかったし、無理にする事をしなかったのだろうか。アメリカは予備選討論、予備選、全国党大会、討論、選挙、就任式とイベントが組まれているが、それは選挙が11月の第1火曜と決まっており、だから他の「政治日程」も予め決まっており、中継するテレビ放送局も事前に用意が出来る。なんなら党大会の中継などイベントはすべてテレビ産業で新番組が始まる9月を避けている。(9月初頭の祝日・レイバーデイ以降にテレビ業界の新シーズンが始まり、新作の放映が開始される)
イギリスの場合、毎年5月の地方選挙―ローカルエレクション―に総選挙―ゼネラルエレクション―を持ち込む場合がある―直近の2005年がそうだ―が、解散選挙が可能なので数ヶ月前から政治日程にあわせた政治イベントを組む事は難しい。

これは日本でも同じことが言え、しかも2008-09年の自民党麻生政権が良い教えとなる。彼が金融危機を背景に臨時国会開会を優先して選挙日程を先延ばしにした事は、数ヶ月前から決め打ちで政治イベントを組む事の無意味さを示唆する。
2009年9月解散が出来ず11月までに解散できなかった政権は、年末近いので来年へ持ち越し。2009年年初からは7月まで続いた通常国会、その会期中にはライバル民主党首小沢一郎への政治資金疑惑が浮上、そのタイミングで解散すると「自民党は紳士的でない」と思われるので解散出来ず。7月は東京都議会選挙で公明党が同時期での選挙戦へ難色を示す。と解散するタイミングを見失い、結果お盆が過ぎてから選挙戦を闘う事になった。
それでも、日本では党首討論という名のキャラバンが行われている。解散間近に日本記者クラブが主催する公開討論を開き、NHKは可能な限り生中継する(2009年なら8月17日)。テレビ局も党首を招いて実施、10年前は与党党首が出席する可能性は低かった。それでも今年は6党首が仲良く揃ってテレビ出演をし、8月11日の日本テレビ、8月13日TBS、8月22日にテレビ東京が通常の番組内で開催している。
それでも、解散してから告示・投開票まで1ヵ月もない短期決戦。その期間内でしかテレビ討論は行えず、そして日本は首相がテレビインタビューに出演するのは年に1回しかないときた。

今回は既に先が見えている。人気は来年2010年5月まで。だから開催の目途が立てやすく、開催の実現性は高いと見られていた。では、いったいいつなんだろうか?今すぐというわけには行かないが。
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月曜日, 10月 19, 2009

モーニング・ジョーについて (Morning Joe)

MSNBCの朝の顔はジョー・スカーボロだ。スカーボロウないしはスカボロウだが、Joe Scarboroughに違いない。彼と番組チームは現在のMSNBCでうまくやっている。

スカーボロは2002年からMSNBCで番組ホストを担当している。1995年から2001年まで、共和党の下院議員(フロリダ1区)を3期6年勤めた。2003年、イラク戦争が始まる頃に『Scarborough Country スカーボロ・カントリー』は「開国」する。元議会議員がコメンテーターとして活動することは間々あるが、自身のテレビ番組を持つというのは稀な事だ。
その番組の宣伝でワシの姿が見受けられる―保守・共和党をイメージさせる動物の一だけど。番組のクリップを見る限りではスカーボロは日本でいうタカ派ではないと見受けられる。ライバルの保守派コラムニストを批判した事もある。

#朝の顔
MSNBCは1996年に開局したが、直後からドン・アイマスのラジオ番組を放送していた。2007年に人種差別発言への抗議を受けてアイマスはクビとなり、MSNBCは新しいホスト選びを始めた。
アイマスが去った後、普通のニュース番組を放送していた。しかし2週間後からMSNBCはトーク番組を再開。新ホスト候補を実際に喋らせて、その上で正式な後継者を決定しようという算段だった。
このインタームの時期に出演したのはデビッド・グレゴリー(NBCワシントン) や ジム・クレイマー(CNBC)、タッカー・カールソン(MSNBC)、そしてスカーボロなど。NBCユニバーサルの一員が多く、関係が薄い人物は初回の人物くらいか。
結果、スカーボロへの評価が高く、彼が番組ホストに決定。新番組『Morning Joe モーニング・ジョー』はアイマスに倣ってアシスタントを追加。スカーボロの補佐と相槌をし、朝のニュースブリーフを読んでくれる存在を求めた。キャスターのミカ・ブレジンスキとプロデューサー職で転職してきたウイリー・ガイスト。
ちなみに『カントリー』の代役はMSNBC元アンカー、ダン・エイブラムスが担当している。

#アイマスとの比較
ドン・アイマスの頃はただ番組を同時放送する程度で、MSNBCは深く関与しなかった。晩年、スタジオをMSNBCに引っ越した程度か。
スカーボロの『Morning Joe』はMSNBCのコメンテーターは勿論、NBCニュースのスター記者が積極的にゲスト出演する。これは開始当初からの特色で、アイマスに比べてゲストは確実に増えた。(経費全体に占める出演料は増している筈だ)。
しかし、レイティングは芳しく無かった。アイマスの頃30万人台を記録した視聴者が、それより少ない10万人台からのスタートとなったのだ。

# Thank you! Paris (Hilton)
そんな見向きもされない頃、番組の運命を決める出来事が起きた。パリス・ヒルトンの事件である。
2007年、パリス・ヒルトンの逮捕がセンセーショナルになった。そのヒルトンが釈放されたというニュース、ミカ・ブレジンスキ(Mika Brzezinski)―苗字が長い―は原稿を読み上げるのを拒否した。3時間番組で3回読むのだが、最初男性陣は軽い冗談でしょ、と決め込んでいたようだ。ミカはあからさまに読むのを嫌い、2回目は原稿の紙にライターで火をつけようとする。ガイストはライターを取り上げ、スカーボロは「いい匂いだ」なんてふざけてみる。が、怒りが頂点にいったままのミカは8時台、原稿をシュレッダーにかけてしまう。
翌日にシュレッダー事件の顛末を振り返り、笑ってみせるなど大人な対応をしたが、「パリスに憤慨したキャスター」としてAPなどがニュース記事に仕立て、YouTubeでアップロードした映像は300万回視聴されたことになる。
レイティングは一向に改善しない時期だった事もあって、この出来事は番組の存在自体を知らせる為のプロモーションとしては最適だった。なにしろYouTubeであれだけ視聴させたのだから。MSNBCは短命に終わる番組がとても多い。どんな事であれ、一助になったのは確かだ。

# "もうひとつの"成功
2008年、大統領選挙の年はニュース番組の視聴率は上がる。誰がなんと言おうと上がるったらとにかく上がるのだ。『ジョー』もご他聞に漏れず視聴者増加を果たし、ついにはCNN『アメリカンモーニング』と互角に渡り合えるようになり、たまにCNNを追い抜く(これはアイマスの時代にもあった)。ゲストに政治家や関係者が登場する機会が増え、出演するNBCの記者はワシントンにいる。
「もうひとつの成功者」として、ニューズウィークに番組を分析した記事(日本語版でも掲載された)が、これを端的にまとめている。
1) 左右に左右されない
誰しもが「MSNBC=リベラル」と思っている。そして夜の番組が成功した絶対の理由だ。そんな中でスカーボロは元共和党下院議員。彼自身は保守だが経済政策では1980年代からの主流である「リバタリアン/新自由主義」を自認している。マイク・バーニクルやパット・ブキャナンなど『カントリー』からの馴染みも多い。対してブレジンスキーは父・ズビグネフが民主党カーター政権時代のブレーンで、オバマ政権に暗躍しているとか、しているとか―結局は影響力を持つと噂される人物だ。ミカがパリス・ヒルトンの原稿をシュレッダーにかけなければ、とは大げさだが結果として彼女がいるからブッキングしやすく、バランスをとる格好となる。
2) 敷居を低く
トピックのほとんどが政治の話題。ワシントンにいてもいなくても見てもらわないとならない。ひとまず視聴者はついてきているようだ。日本版の記事はワシントンで時計代わりにMSNBCをつける人もいる、としているが。しかし、話が難しいままでは視聴者はPBSで十分だ。
『ジョー』のスタジオは緩やかだ。スタジオセットがオフィスを連想させている。テーブルの上にはラップトップや新聞、コーヒーマグが散らかり、携帯電話で返信する姿がある。これは先輩となるCNBC『スクワークボックス』でも同じ手法をとっている。実際、スタジオの中にある本物のオフィスデスクがNBCニュースのオフィス機能を担っていて、スタッフは本当にそこで働いているのだが。
トークのひとつひとつが長いので、クレーンカメラやステディカムで撮影して躍動感をみせたり、NYタイムズやWSJなど新聞の見出しを紹介したり、スクリーン上の演出も欠かさない。CM前後にはポップミュージックが流れるのもテクニックのひとつだ。
こうして、番組の敷居を低くして身近に接してくれればいい。
3) 友愛・・・というよりか
ケーブルニュースでグレン・ベックやビル・オライリー、キース・オルバーマンが象徴するように敵対心と怒りという演出手法が取り入れられている。『ジョー』では議論が白熱しても案外冷静だったりする。鳩山由紀夫が「友愛」を掲げるが、それはここでも通じる。「逆のベクトル」という表現か。
4) 使ってもらおう
また、ウィリー・ガイストが芸能ニュースの聞き役にまわり、7時前後の「News You Can’t Use」では息抜きにニュースを取り上げる。トーク番組でコメディアンのティナ・フェイが
「初体験はいつか」を話していたとか。一方で他のテレビ番組やブログでとりあげられてもいる。スカーボロがF**kを口にしたとか。こういう事はアメリカのテレビ産業ではよくある事だ。

# コーヒーカラー
ところで、番組のロゴはコーヒーマグの染み跡がモチーフで、スタジオ移転した2007年の秋に創られた。グラフィックはコーヒーブラウンでカラーリングしている。出演者もコーヒーをよく手にしている。NYSEから出演するエリン・バーネットが新スタジオに陣中見舞いした時、スターバックスのグランテカップを手にしていた。そして、2009年6月からはスターバックスがスポンサーとなった。スターバックスはプロダクト・プレースメントとして広告費を払う格好で、契約は年間1000万ドル、実際にテーブルにはスタバのコーヒーが置かれている。ニュース番組におけるプロダクト・プレースメントはコカ・コーラがローカル局で導入したのが始まりで2008年のこと。この時は食品サンプルだったそうだが。今回、最初こそ飲むシーンを意識して撮影していたが、そうでなくなってからも「普通に」飲んでいる。これに関して、賛否の声は多い。たとえばスターバックスが抱える問題は取り上げるのか?と。ジョン・スチュアートも皮肉っている。
で、たとえばスカーボロの出版記念ツアー―つまるところ全米を巡るサイン会―で地盤のフロリダに滞在していた時も1日はスターバックスの店内から中継。9月14日から西海岸を巡ったが木曜日、ジョーとミカはシアトルの1号店から放送した。

コーヒー片手に今日もオフィスから生放送が始まる。


F-Bomb, ‘Morning Joe’ highlights, Stuart on Starbucks

The Daily Show With Jon StewartMon - Thurs 11p / 10c
Corporate SynerJoe
www.thedailyshow.com
Daily Show
Full Episodes
Political HumorRon Paul Interview
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金曜日, 10月 16, 2009

CNNインターナショナル 'GO' beyond border

2001年9月11日の出来事をどれだけ覚えているのだろうか。私たちはどれだけ憎悪の壁を知っていただろうか。世界は9月10日にCNNインターナショナルがブランドを再構築した事も覚えているだろうか。ウィキペディアに書いた張本人として、そう思う。どうだっていいことだ。CNNインターナショナル(CNNI)は壁を乗り越えることが出来るのだろうか・・・

2009年9月21日からCNNIはブランドイメージを一新した。2001年3月の「Be the First to Know」 に代わるスローガンとして「Go Beyond Borders」 を採用した。これまでは速報性や信頼性に重きを置いていたが、これからは境界を越えてゆく、というメッセージになる。それは視聴者の国境や宗教・人種などの境を越えるという事と、テレビ・インターネット・モバイルとプラットフォームを越えるというのにも兼ねている。

今回はスローガンの変更と共に、番組ラインナップの変更を行っている。その目玉がアマンプールの起用だった。CNNの海外取材における記者の代表格として、ドキュメンタリーの制作やCBS『60ミニッツ』の外部記者を任されるなど、内外において「CNNの顔」だったクリスティアン・アマンプール。彼女をインタビュアーに起用。9月21日に始まった『アマンプール (Amanpour)』は2009年の年始から計画されていた。週5日、30分の番組はアジア・ヨーロッパ地域のプライムタイムにそれぞれ放送。1回目はアジアむけ(8pHK/2pCET)で、2回目(3aHK/9pCET)はたまにアメリカ国内のCNNでも放送するらしい。ほか、週末に放送する1時間のダイジェスト版はCNNアメリカでも放送する。日本なら午後9時に放送する(冬期は午後10時)。
また、長らく『ワールドニュース』として放送していた定時ニュースも変更。ワールドニュースは『CNNトゥデイ』や『ワールドニュースアジア』など放送時間に応じて番組の細分化を行っていたが、これらすべてを『ワールドリポート (World Report) 』に統一。従前の『ワールドリポート』は『ワールドビュー (World View) 』と番組名を差し替えた。『ワールドビジネスリポート』もグラフィックを更新している。
スローガンの変更や『ワールドニュース』を廃止して新しいタイトルへ移行したのは大きな転換点を迎えた事を示唆する。
WR, Amanpour, WBR, ‘Go Beyond Border’ promo



2009年はCNNにとって久しぶりとなるテコ入れの年となった。年初にはCNNアメリカに倣ってグラフィックデザインを変更。段階的にヨーロッパのプライムタイムに新番組を投入。リチャード・クエストの『クエスト ミーンズ ビジネス (Quest Means Business/8pCET) 』(1月26日)、ハラ・ゴラーニの『インターナショナルデスク (International Desk/6pCET) 』(2月2日)、ベッキー・アンダーソンの『コネクト・ザ・ワールド (Connect the World/10pCET) 』(4月20日)とスタート。取材の裏側に迫る『バックストーリー (BackStory/11pCET) 』は2008年10月に開始している。

Quest, IDesk, Connect, BackStory



2008年以降、『ビジネス・インターナショナル』の放送回数が減少し、『CNNトゥデイ』など平日に放送していた番組名を週末にも放送する―が、週末は一貫してアトランタから放送する。中断して『ワールドスポーツ』を放送するなど、3時間ブロックとして放送する存在意義が失われる。それまでの『ワールドニュース』とはたいして変わりない。いろんな番組名を抱えるが、どこのスタジオから放送するか、アンカーが誰か、タイトルがどうかの違いに過ぎなくなってきた。だからか、『ワールドリポート』と番組名を統一したが、このタイトルは従前のものと重複する。CNNが提携関係を結ぶ世界中の放送局のニュースリポートを紹介する『ワールドリポート』は2001年の同時多発テロ以降に放送回数を多くしたが、その後平日から週末のみの放送になった。そして新たに『ワールドビュー』としてスタートを切った。

CNNの親会社タイム・ワーナーはアメリカ企業であって、本部CNNセンターはアトランタにある。しかし、無意識にいるとアメリカの価値観しか持ち合わせず、アメリカのプロパガンダに陥る。その為か、CNNIはアメリカナイズという偏見から抜け出そうとしている。
開局当時から100%自主制作をしていたわけではない。CNNアメリカの番組で埋め合わせをし、現在もCNNアメリカが制作するニュース番組を放送している。『ラリー・キング・ライブ』が古株で、2008年にはアメリカ政治ニュース『シチュエーション・ルーム』を開始した。
その一方で進むのは多極化だ。『ワールドリポート』―改名して『ワールドビュー』はアメリカ以外のニュースリポートを放送。ロンドンと香港にスタジオを置き、そこからヨーロッパ・アジアの朝晩のプライムタイムを狙って番組を組む。中東やアフリカをテーマにした番組もあれば、世界中を行き交うビジネスマンに焦点を当てた番組も作る。2000年からビジネスマン・トレーダーを相手にビジネスニュースを強化。この時にクエストが起用され、ロンドンスタジオが重要になってゆく。2009年にはヨーロッパのプライムタイムに新番組を投入、ベテランを相次いで起用した。

さて、CNNIのスローガンはビヨンドボーダー。CNNはボーダーを超えようとしている。壁であり、境界でもある。それはCNNが超えるだけではない。CNNと超えるのだ。誰と超えるのか?これが鍵だ。その特定の集団と共にしたら、その集団はCNNについてくる。まずは国際問題を意識する集団だ。常に国際情勢に関心がある人々が自国のニュースを見ずにCNNを見る。2009年の新番組たちはほとんどニュースリポートとインタビュー、二手から分析する。そういえば過去に『インサイト (Insight with Jonathan Mann) 』や『Q&A (with Riz Khan) 』などがあった、これらは30分番組で、今度は60分が多い。『アマンプール』はインタビューのみで構成するつもりだし、取材の際は現地でインタビューを数多く行うのだろう。
次に肝心なのがビジネスマン。中東やヨーロッパで国境を越えた市場で仕事するビジネスマンだが、彼らが率先してCNNを見るとは限らない。だからCNNは率先して番組を作るのだ。それがこれまで触れた番組群であり、他に『マーケットプレイス・ミドルイースト (Marketplace Middle East) 』がある。そしてCNNを世界中の主要ホテルで視聴可能できる。

前述したがCNNは2000年にビジネスニュースを強化した。ヨーロッパ/アメリカのマーケットに合わせて番組を編成した。この当時、視聴者数ではCNNIよりCNBCアジアの方が勝っていた。そうCNBCアジアが宣伝していたのだが、ヨーロッパは分からない。経済専門のCNBCの戦略には需要があり、成立する。だからCNNIはビジネスニュースに乗り出した。しかし、イラク戦争がひと段落し、ビジネスニュース路線は後退していった事を、 YouTubeのコメントでおちょくられている。『ビジネス・インターナショナル』のオープニングを投稿したjameshhjhが「(CNNは)ビジネスというけど、ビジネスニュースがない」というが、実際にそのとおりだった。ビジネスニュースの頻度が低下していったので『インターナショナル』は2008年に番組名を変更している。
Business International


CNNIの改編はひとまず終わったことだろう。アジアのプライムタイムは『アマンプール』の先行放送があるくらいか。ジム・クランシーが『The Brief』として再スタートしていているが、これがアジアプライムにあわせたものか、微妙でもある。

The Brief (2009)
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新競技、シンクロナイズド・ディベーティング (Synchronized Debating)

去年の今頃がアメリカ大統領選挙の過渡期だろうか。8月終わりから9月はじめに全国党大会が終わり、マケイン/ペイリン陣営とオバマ/バイデン陣営は遊説に次ぐ遊説、演説に次ぐ演説を重ねた。その2者が顔を合わせる機会と言えば「大統領候補者討論会」くらいしかない。
1回の討論会に費やす時間は90分。マケイン×オバマは3回、ペイリン×バイデンは1回行われ、主要テレビネットワークとケーブルニュースのほとんどが中継した。
中継したのはいいが、見返すと本当に3回もするようなものだったのか、と少しは言いたくなる。1年以上前から大統領に向けて活動を行っていて、数多くの遊説と討論会を行い、これでもかという位に喋り倒したのだ。戦略担当やスピーチライターを雇ってあらゆるテーマを聴衆の心に響くスピーチを続けるので、候補者は喋り慣れてくる。そうなると主要公約やキャッチフレーズはすらすら喋られる。カンニングペーパーやプロンプターが無くても。そう、マケインが最後の最後に「配管工のジョー (Joe the Plumber) 」を頻繁に引き合いに出したように。



23/6.comはニュース映像でパロディを作っているが、討論会もその対象にした。デジャブを感じたんじゃない?と言う。まずは「シンクロナイズドディベート」を。

3回の討論会でのフレーズがきれいにシンクロしている。景気、財政、イラク、及び相手への批判だ。
3回の差異が際立てれば3回やる意味があるだろうし、実際に討論のルールは毎回異なっている。1960年のニクソン×ケネディは5回も行ったという。こうもきれいにシンクロナイズしてしまうと、案外時間を無駄にしていて、3回の討論テーマが似通っている事にも気づく。ではシンクロナイズドディベートとはなにか。結局、喋り慣れ過ぎてしまうと文句は同じになるようだ。もちろん、日本も。そんなものらしい。
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木曜日, 10月 15, 2009

Two and a Half...minutes news 2分半のニュース

ブロードキャスティング&ケーブルの記事より。

アメリカのネットワーク加盟局はだいたい決まった時間帯にローカルニュースを流す。
ただ、人口規模やどのネットワークに所属するか、で収入は変わり、中小の放送局はローカルニュースに手を出さない。iONというネットワーク―設立当初はPaxといった―はローカル編成を絶対にしない。それ以前に見向きもされないような存在だけど。

中小の放送局は財政がしっかりしてないと迂闊にローカルニュースに手を出せない。そして、シンジケーションからドラマやシットコムの再放送を購入して放送した方がまだいい、と考える。
たしかに日本でも当てはまる。昼間のドラマ再放送には固定ファンが多い。水戸黄門や2時間ドラマ、『相棒』などの刑事ドラマといったところか。

CBSに加盟するWWJ(デトロイト)は夜11時にニュース番組を始めた。2½分の番組はシットコム『Two and a Half Men (直訳で2.5人の男たち、邦題はチャーリー・シーンのハーパーボーイズ・・・らしい)』に倣って『Two and Half Minutes 』としたのだろう。ニュースが終われば『Two and a Half Men』が始まるのだった。


語感の良さが面白かったので気になったのだが、2006年に登場した『ニュースが起きていないのが良いニュース (Where No News is Good News)』というキャッチコピーは納得する。
それでもニュース番組を短時間で仕上げる放送局は幾つかあるようだ。10時に10分間のニュース、で10@10とか11@11とか。FCCのルールにのっとって番組が終わった後にCMを放送するので番組としては12-3分の放送となるけど。
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月曜日, 10月 12, 2009

CNN in Crossfire

CNNのレイティングは全くよろしくない。雲の上の存在となったFox News(FNC)はさておいて、MSNBCとCNNの姉妹局HLNと2位争いを行っている。
日中はCNNが2位を確保しているが、早朝はMSNBCと互角、夕方からプライムタイムはMSNBCに押され気味。プライムタイムはHLNも互角の戦いを見せている。ざっとこんなかんじか。
そして、FNCは保守寄り、MSNBCはリベラルだという色眼鏡で見られる中でCNNは違う道を選んだ。FNCのビル・オライリー (Bill O'Reilly)のようなパンディットに頼らず、記者リポートを軸におこうとしたのだ。2004・2005年にはジュディ・ウッドルフ (Judy Woodruff)がCNNを離れて長寿の政治トーク番組『クロスファイア (Crossfire)』や『キャピタル・ギャング (The Capital Gang)』が終了に至り、『シチュエーション・ルーム (The Situation Room)』が誕生している。
CNNはBest Political Team on Televisionと銘打った記者・コメンテーター陣のおかげか、民主党の勢いが勝っていたか、2008年前後の政治イベントに強さを発揮したが、それ以外の300日以上の「普通の日」はライバルを相手に埋没してしまった。顕著なのが午後8時台(ET東部時間)だ。
2002年にコニー・チャン (Connie Chung)を起用、2003年からはポーラ・ザーン (Paula Zahn)と、過去にライバルのCBSやFNCで活躍した人物を起用し、ゲストトークもあるが記者リポートもきっちり忘れていない。しかし、ライバルでCNNより格下と思っていたMSNBCのキース・オルバーマン (Keith Olbermann、2003年から現在まで)やHLNのナンシー・グレース(Nancy Grace、2005年から現在)が長続きしている。オルバーマンはブッシュ批判を強めた2006年から人気を得ている。
CNNは2007年にザーンを解雇、つなぎ番組を挟んで翌年、NBCのキャンベル・ブラウンを起用して選挙をメインに据えた政治ニュース番組をはじめることになったのだ。

Mediaiteがまとめた、2009年9月の月間レイティングによれば、午後8時の2位争いはMSNBCのオルバーマン(112.1万人)が制し、HLNグレース(82.3)、CNNブラウン(72.7)となっている。忘れてならないのはFNCのオライリーは348万人もいるのだ。いまのところ3位争いで接戦の状態が続き、ブラウンは引き続き番組を担当している。

そこへ、唯一の救いとなるのか?すぐに忘れ去られた話題がある。メディアビストロが運営するブログサイトFishbowlLA報じたのはCNNはクロスファイアを復刻させようと人選をしている、というものだった。

#Crossfire
CNNの実は数少ない長寿番組のひとつがクロスファイアだ。番組冒頭でアナウンサーが「オンザレフト ポール・ベガラ、オンザライト、ロバート・ノバック」と出演者を紹介するのだが、番組は右寄り・左寄りのコメンテーターがそれぞれ登場する。それぞれの立場・意見に基づいてニュースをコメントし、ゲストを交えながら意見を戦わせるのだ。

1986年の映像はシンプルだが、テレビ番組のテクノロジーの向上によって華やかになってゆく。また、有名人が出演すると記録に残りやすいようだ。『デイリーショー (The Daily Show with Jon Stuart)』でニュースキャスター役を演じるコメディアンのジョン・スチュアートをゲストに迎えた回も記憶に残る回だ。既存の概念を批判するのが得意なスチュアートは番組の左右に分かれたロールプレイに疑問を呈する。ウィキペディアを読み返すとiFilm経由で400万回以上再生されている。YouTubeでも230万回を数える。


結局、この当時のCNNの潮流としてトーク番組が冷遇を受けた時期だったこともあり、キャンセルとなった。
2009年の今のCNNも馴染みのゲストなどを囲んだトークコーナーを設けて、クロスファイアよろしくバランスをとったキャスティングがなされている。しかし、トークやインタビューは番組を構成する上でのひとつの要素に過ぎず、あくまで添え物としてしか機能しない。それに、他局の方がよく喋っている。CNNは本当にクロスファイア形式のトーク番組はカムバックさせるのだろうか?

ちなみにFishbowlLAでの話では、何人かの候補者を挙げている。
左サイドはラジオパーソナリティーやCNNでよく見かける顔が多い。
スティーブ・スミス (Steve A. Smith) ESPN
チャンク・ユーガー (Cenk Uygur) Radio host, The Young Turks
ローランド・マーティン (Roland Martin) CNN
エロル・ルイス (Errol Louis) CNN
対して右サイドはラジオパーソナリティーが候補に挙げられている()
ロー・コン (Roe Conn) WLS (シカゴ) 'The Roe Report'
ジョー・ワトキンス (Joe Watkins) 元WPHT (フィラデルイア)
スティーブ・マーツバーク (Steve Malzberg) WOR (ニュージャージー/ニューヨーク)
ジョー・パグス(パグリアルーロ) (Joe Pagliarulo) WOAI & KPRC (テキサス)
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『マネー資本主義』に代わる存在は生まれるか #WhatWeLearned?

シリーズの最終回に登場する何人かの発言を抜粋。

自由主義経済を振り返り、失敗を教訓として捉える時、何を学ぶのだろうか?

ジム・チャノスが「失敗のない資本主義は希望のない宗教」のようなものと説いたが、これが一番的を獲ていると思う。ただ、あまりにも大きな失敗が希望の光を翳したが。

公共/公益は自由主義に反する存在なのだろうか?
リーマン・ブラザーズの破綻から1年。どう軌道修正してゆくのか?

アラン・グリーンスパン、自由主義経済に関して、過去のフッテージより
「市場に任せればうまくいき市場が民主主義に貢献するという考え方です。そう信じるのはイデオロギーからというよりも、自由主義が世界経済にとって最も効率的な政策だと信じるからです」

2008年10月の公聴会でヘンリー・ワックスマン議長「自由主義的な考えが行き過ぎ判断を誤ったのではないですか?」
グリーンスパン「そうかもしれません。欠陥があったと思います」

ヘムルート・シュミット
「彼一人のみの責任ではありません。議会を含めたアメリカの政治全体の責任だと思います」
「私たちに出来るのは政府がきちんとした経済政策をとるように要求し、チェックし続けることです。
そして、日本や中国のアジア諸国にOPEC諸国など、10年後も多くの利益を生み出してゆくと予想される国々をしっかりとまとめあげて、同じ金融ルールに従わせることが大切です」

胡 鞍鋼 (こ・あんこう)
「規制と監督の無い中で構築された世界の金融システムは、危険性を持つに決まっています」

ジョセフ・スティグリッツ
新たな基軸通貨と世界経済理事会を提言
「IMFの最大の問題は・・・新自由主義の考えに支配されている・・・歴代の総裁はアメリカの財務省や中央銀行、金融市場の出身者が務めてきたのですから」
「アメリカは抵抗するかもしれません。しかし、もう新たな仕組み作りの議論は止められない。中国など莫大なドルを持つ国が賛成したとなれば、他の国も無視出来なくなる。現状を変えなければいけないという、国際的機運が高まっていると思います」

永田文治 (鹿児島銀行頭取)
土地担保でなく、農作物を担保
「産業あってこその金融です。やっぱり金融は黒子です・・・裏側に徹しないといけないですね。我々はやっぱり地域が繁栄してこそ」

原丈人 (はら・じょうじ)株主資本主義でない、公益資本主義を提唱
「(公益資本主義は)儲けた金を使って、何らかの形で世の中に役に立つことをおこなってゆく。
アメリカの猿真似をしないこと。
次の産業は一体何か、一番利益率の高い、株主を豊かにしてくれる、金融業が次の基幹産業だという風に勘違いした所にアメリカやヨーロッパのリーダー達の失敗がある。勘違い。
日本は実業をやる。製造業が大事だと(思う)・・・こういう人達の上で成り立っている唯一の先進国である日本は、アメリカと比べると、可能性は今のきょう現在においては高いと思います」

ジム・チャノス
「資本主義が与えるのは富を得るチャンスだけです。
社会主義がうまく行かなかったのは歴史が証明しています。人間の能力はそれぞれ異なるという事実を無視した」
「資本主義は徹底した自由競争の上でしかなりません」
「普段は資本主義で問題が起きると社会主義というシステムはいずれ行き詰まると思います。問題を解決することを・・・先延ばししている・・・。
失敗の無い資本主義は希望の無い宗教のようなもの」
マイケル・サンデル
「消費者としては、制限の無い自由な市場は法律を良くし繁栄をもたらすからとても魅力がありますよね。
社会の一員である市民として・・・市場が境界線を乗り越え教育や社会保障にまで影響したら?
経済成長だけが社会の目的になってしまったら大変な事になります。・・・過去数十年、我々はそういう方向へ流れてしまいました。
市場に支配されないしっかりとした社会基盤、公共性を再構築することです。そうすれば、市場は人々の生活を良くする為に存在するでしょう」

『NHKスペシャル マネー資本主義』2009年7月20日
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日曜日, 10月 11, 2009

ノーベル平和賞, バラク・オバマ

ノーベル平和賞にオバマ氏が選ばれた。
氏は国際舞台での実績が殆どないので「見込み」で選ばれたか、財団が人気取りに走ったか、程度の話で終わるのですが。

どうも祝福ムードは起こっていない。アフガニスタンに目をやればアメリカ軍が何をしているか、見るからに戦争だ。その最高司令官に平和賞、でもあるのだ。

前評判として、共同通信はノルウェーのテレビ局NRKの予想をピックアップしていたが、オバマには言及していない。時事通信の取材ではオスロ国際平和研究所の所長が「現在進行形の政治プロセスに影響を及ぼす人物への授与が望ましいと考えている」と分析しており、サルコジやオバマの名を挙げている。
確かにそうかも、思う節はある。2008年はフィンランド元大統領のアハティサーリが選ばれた。彼は紛争解決に注力した。オバマは州議会議員になる前から仲裁役になるべく活動してきた。「アフガン情勢」より「解決能力への見込み」を買われての受賞という事になる。アハティサーリはCNNに対して「委員会はオバマを励ましたかったのは確かだ」としている。「オバマ氏が取り組むべき最大の課題は中東和平で、授賞はこれを後押しする狙いがある」と時事はまとめている


もちろん、twitterユーザーの評価も芳しくない。(そんなにぶうたれるもんでもないだろう)と思ってしまい、ということは私はオバマに肩入れしている裏づけになってしまうのだが。

あまり盛り上がらない幾つかの理由
1)実績の無さ、オバマへの不信。
ヨーロッパ遊説での核廃絶スピーチだけだと。理想主義語ってんじゃねえ、実行する気あるのか、と。
2)過去、権力者か草の根団体しか授与していない、という財団への批判。
平和賞自体への疑問で、いらいんじゃない?という声もある。
3)今年まだ日本人に受賞者が出ていない恨み節。
もし昨日までに出ていたらそっちに気が向く、と。人間って案外バカだから。

1)について
シカゴのコミュニティオーガナイザー時代から喋りの上手さが買われていたオバマ。調整能力を発揮すべく行動をしていたように見受けとれたが、現状を打破できているだろうか?
核廃絶に向けての行動はこれから。国内問題は医療制度改革が難航し、保守/リベラルの溝は深まるばかり。

私は去年の選挙以来、マケインよりはオバマの調整能力に一票、という人物。なのでオバマへの批判に敏感かもしれない。
それ以前に二者の価値観の違いが露呈しただけ。だったり、オバマ信奉者の私は夢見ているだけで現実に向き合わないだけ、かもしれない。ということは、それらを自覚している私が、他者から批判されるのがイヤなだけか。器、ちっさ。笑

2)について
先週、2016夏期五輪が南米初開催・リオデジャネイロに決定したように、多数決では絶対な要素、好条件の属性があるほうが有利。つまるところ、「人気取り」が有利なのは変わることがない。
都知事が『見えない力学』というものは、まさにその人気取りになれるか否かの判断基準であり、言うならば頭ひとつ抜け出す為の「属性」という名のインパクトだ。リオデジャネイロには「治安の悪さ」を掻き消すくらいの「南米初開催」という属性がついている。

だから、平和賞にゴルバチョフだったりアラファトだったりゴアだったりグリーンピースなど賛否の別れる人物/団体が受賞するのであって、割りきってしまえば受賞基準は「そんな程度の話」。
しかし、そう割りきられてしまったら、財団と私たち個々人の間の理解の溝は果てしないものとなってしまい、財団の存在価値を脅かすことに繋がるのだ。
繋がっていないのであれば、まだノーベル賞が―個人にとって、でなくて―「社会にとって」世界の権威ある賞のひとつに数えられているという証しと言える。たとえ人気取りであったとしても、個人の不満が噴出しても。
少なくとも、ここに「そんなものか」と感じた個人が、ひとり。

3)について
日本人が選ばれるとバカになる。バカみたいにはしゃぐのではなく、バカになってはしゃぐ。種の優位性を叫んでいる、それだけの事だ。欧米に追いついた、とかも同様。
日本人の民族主義―民族保守―のうち、排斥派がいるように、WASPへの怒りがあるやもしれない。ネット右翼の方々とか。これも、種の優位性を叫んでいるだけなナルシズムに過ぎない。
そして、ウチが抱える生来のナルシズムに対するアレルギー反応が発動しただけ、なんだろうなぁ。
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火曜日, 9月 29, 2009

Prime Time in Cable News

9月29日からHLN—日本ではCNNヘッドラインニュースで知られる—はジョイ・ベイハーによる新番組『ジョイ・ベイハー ショー (The Joy Behar Show) 』を開始する。おそらくだが、HLNを含む主要ケーブルニュースチャンネルにおいての今年最後の新番組だろう。

24時間ニュース専門チャンネル、ケーブルニュースが放送する夕方以降の番組は、朝から日中までの番組とは毛色が違う。夕方以降は1日を振り返る番組が1時間単位で続いてゆく。CNNは10年前まで30分単位で番組編成を行っていたが、現在は1時間単位が主流となった。
午後5時(以下、東部時間)から12時までに4つの主要ケーブルニュース(FNC/ CNN/ MSNBC/ HLN)で放送される番組は19あって、ジョイ・ベイハーは20個めとなる。Fox Newsで4時から放送するニール・キャブートも数えれば21か。
どれも地上波のローカルニュースやネットワークニュースのようにその日を振り返るような番組構成なっていて、たまにドキュメンタリーなど時間軸にまったく関係ない番組を放送する。番組の根幹を成す「その日を振り返る」のは大体同じだが、番組によって切り口が違う。出演者の個性、パーソナリティー性に反映される事が大きい。ルー・ダブス(CNN/7p)、ビル・オライリー(Fox News/8p)、キース・オルバーマン(MSNBC/8p)、ナンシー・グレース(HLN/8p)、ラリー・キング(CNN/9p)、最近ではグレン・ベック(Fox News/5p)など。いま挙げた人たちはどれも性格・キャラクターが違い、それが番組の指針やイメージに直接反映している。ラリー・キングは穏やかだし、オライリーやオルバーマンは熱血漢。こうした見た目以外にも保守・リベラルという区切りや各々得意とするジャンルなど、差異は様々、すべてが違っている。
こうして違いをつけることで長時間複数の番組を視聴してくれることを願っている。同じものを何度も見てくれとは決して言わない。それでも視聴機会を増やそうと再放送を取り入れている。MSNBCは5時のハードボールを7時に放送しているが、視聴者は7時の回の方が多い。2006年、10時以降ドキュメンタリーを放送していたが、2008年に8時『Countdown』の再放送に充てた。午後10時といっても東海岸が10時なだけで、西海岸はまだ午後7時。午後5時の初回放送を見ることが出来ない視聴者だっているだろう。尤も、MSNBCはレイティングが不振続きで番組数を減らして再放送やドキュメンタリーに切り替えたという歴史を持つが。
それに比べてFox Newsのラインナップはとても強固だ。レイティングにおいては2009年の第3四半期、すべてのケーブルチャンネルで3位争いを演じている。独自にドラマを制作するTNTやUSA、アニメのカートゥーンネットワークなどが上位に位置するが、これらを追い抜く日も近いかもしれない。

プライムタイムリスト
どの番組にも基本として「ゲストを招いたトーク」があります。
Fox News Channel
(4-5p Your World with Neil Cavuto / Business)
5-6p Glenn Beck (Political opinion)
6-7p Special Report with Bret Bair (Political news)
7-8p Fox Report with Sheppard Smith (News)
8-9p The O'Reilly Factor | Bill O'Reilly (Opinion/talk)
9-10p Hannity | Sean Hannity (Political opinion/talk/debate)
10-11p On the Record with Greta Van Sasteren (Political and crime news/talk)

CNN
4-7p The Situation Room with Wolf Blitzer (Political news)
7-8p Lou Dobbs Tonight (News/talk)
8-9p Campbell Brown (Political news/talk)
9-10p Larry King Live (Interview)
10-11p Anderson Cooper 360 (News/talk)

MSNBC
5-6p Hardball with Chris Matthews (Political talk)
6-7p The Ed Show | Ed Shultz (Political opinion/talk)
8-9p Countdown with Keith Olbermann (News opinion/talk)
9-10p The Rachel Maddow Show (Political opinion/talk)

HLN
5-7p Prime News | Mike Garanos (News/talk)
7-8p Issues with Jane Velez-Mitchell (Talk/debate)
8-9p Nancy Grace (Crime news/talk)
9-10p The Joy Behar Show (Talk)
11p-12a Showbiz Tonight with A.J. Hemmer (Entertainment news)
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アドレス短縮化(tiny)は今に始まったものではない

アメリカのテレビニュースの追っかけをしていると、記者や幹部らのTwitter利用が進んでいる事に目がいく。
それでTwitterを利用していると、今度はTwitterでの短縮アドレス(Shorten URL)の利用の多さに目がゆく。

メジャーなものではTinyURL (http://tinyurl.com)やBit.ly (http://bit.ly)だろうか。Windows MobileなりiPhoneなり、スマートフォンを使うとサイトデザインのシンプルさが重要となってくる—別にtinyurlでもbit.lyでもアクセスは出来るが—。is.gdのように、いつサービスが停止するか心配なサービスもある。
アドレス短縮化、つまりtinyする事について。

最近では自前のドメインでアドレスの短縮化を積極的に取り入れている所がある。
Mediaite (ミディアアイト)はメディアに関する話題を取り上げるサイトで、NBCの司法記者というより起業家として知れ渡るようになっちゃったダン・エイブラムスが関わっている。複数人の記者/コントリビューターが記事を上げている。
Twitterにおいても共通アカウント(@mediaite)として管理。専門分野に関するつぶやきや最新記事の情報などをつぶやいていて、Mediaiteの自身の記事へリンクを貼ることでTwitterユーザーへの広報活動として機能している。
Mediaiteで誰がつぶやいたかを判別する方法として、末尾に投稿者の頭文字を載せる。SKならスティーブ・クラカワー (Steve Krakauer) RSならレイチェル・スクラー (Rachel Sklar) 、CHはコルビー・ホール (Colby Hall) が書いたと分かる。
ミディアアイトのスタッフはアドレスの短縮化にbit.lyを使っていたが、CHホールが筆頭にmediaite.comを使用している。つまり自身のドメインでの短縮化だ。
よく考えれば、アドレス短縮化は短いアドレスを生成して、それを元のアドレスへリダイレクト/転送するということ。
転送自体はよくみかける。勿論、ウェブサイトのアドレス移転(引っ越し)の為の転送だけではない。テレビの『追っかけ (自嘲を込めて)』をしてたら経験がある。昔から当たり前のように短縮アドレスを誘導し、ユーザーは転送されてきた。

テレビで、商品としてウェブサイトを宣伝する方法の常套手段だからだ。覚えて貰い易いアドレスを用意したら、アクセスしてもらえるチャンスが増える、と信じてみたからである。それを実践しているのは放送局自身で、自身のウェブサイトの宣伝の時に短縮化したアドレスを使用している。

CNNの場合、大統領選挙と中間選挙を特集したウェブサイトを毎回作成している。現存している2002年と2008年を比べれば雲泥の差で、2002年のを懐かしく感じてしまう。その選挙サイトに誘導する時のアドレスがcnn.com/election。これが最新の選挙にリダイレクトされる。今はまだcnn.com/electionは2008年版のサイト (http://www.cnn.com/ELECTION/2008) へ転送され、2010年の中間選挙が近づけばそちらへ転送されるように設定変更されるだろう。
他に、政治ブログ Political ticker (http://politicalticker.blogs.cnn.com) への誘導に cnn.com/ticker を用い、アンダーソン・クーパー360には cnn.com/360 の時代を経て ac360.com を使用している。これらのアドレスはいずれも放送の時、出演者が声にするだけでなく、短縮アドレスをテレビ画面に表示している。アンダーソン・クーパーは放送中随時アドレス AC360.com が表示されている。

Sky Newsは長らくトップページへの誘導アドレス sky.com/news を用いてきたが、2008年の夏に skynews.com に変更した。気にも留めていなかったので、いつから正式に変更されたかは分からない。ウェブサイトのレイアウトが変更になったわけでもないし、 skynews.com は昔からSky Newsがアドレスを取得していた。ところが、 skynews.com への転換を機に、放送中での短縮アドレスの紹介機会が増えた。30分おきの天気予報—カタール航空のCMが流れる—では天気予報サイトへの誘導に skynews.com/weather を使用するが、勿論転送される。大統領選挙では /uselection 金融危機特集サイトはキーワードのRecession (景気後退)にちなんでいる (/recession)。現在は別ページにリンクされているが。
他にNBCのToday Show (todayshow.com)や The Ellen DeGeneres Show (ellentv.com) も転送される。

ここでの基準は、どれだけ覚えてもらえるアドレスか、ということに尽きる。Todayshow.comは、過去はtoday.msnbc.comをアドレスとして使用していた。CNNのアメリカン・モーニングがブログサイトを立ち上げる時にタイトルをamFIXとした。それまでの誘導アドレスはCNN.com/amだったが、CNN.com/amFIXと変更している。Twitterのアカウントも@amFIXだ。

これは日本だったら商品名など検索サイトで[キーワード]検索して貰うように誘導している。

短縮化は今に始まったものではない。
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月曜日, 9月 14, 2009

New shows out today

先週月曜のレイバーデイの翌日、火曜を皮切りにアメリカテレビ産業の2009-10年シーズンが始まった。

帯番組は先週火曜から新作を放送しているが、その中でも新番組は月曜から始めたい為に今日からの放送を採った番組が多い。
The Jay Leno Show (NBC)
The Joy Behar Show (HLN)
The Dr.OZ Show (Syndicated)
The Tyra Banks Show (CW, from syndicated)
LX New York (WNBC/NBC/ch4)
PIX11 News at 6.30 (WPIX/CW/ch11)
タイラ・バンクスは新番組ではなく、新しいチャンネルへの引っ越しであるが、ニューヨーク地域ではこんなところだろうか。
これらを軸にして都市間、チャンネル間の比較も出来ればいいなと考えている。
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金曜日, 9月 11, 2009

09/11 WWF on 911 ものの見方は人それぞれ

WWFの9/11
アリコジャパンの1ヶ月のCM自粛も9月4日で終わり、AC公共広告機構のコマーシャルの出番は減った。ACは非営利組織のCMを放映することが多い。その中でWFP世界食糧基金が出稿したCMはシリアスすぎて不評だった過去がある。シリアスは世間受けが悪い。

6月に出稿したWWF世界自然保護基金のCMは2001年9月11日にニューヨークで起こった航空機テロを題材にしたCMだった。
ヘリコプターの空撮という前提でCGを制作。ワールドトレードセンターに航空機が衝突する様子をCGで再現、暗転して「2001、2,819人が死亡した歴史上最悪な悲劇のひとつ」とテロップが出る。再びニューヨークの空撮に戻って煙立ち込める様子をCGで表現していると、背後から航空機が飛び出してきて摩天楼に襲い掛かる。それも数えるのが面倒な位に。再度暗転してテロップは「2005、津波が280,000人を殺した。100倍以上の死者だ」と告げる、そして「私たちの星は残酷で力強い」「尊べ。守ろう」「WWF」とテロップが続く。
この映像はウェブサイトで話題となった。新進のニュースサイトMediaiteで取り上げていて、YouTubeにもアップロードされたいたが、10日現在は削除されている。MediaiteはブログサイトAdFreakを引用しており、いまのところ広告を視聴することが可能だ。


ことの成り行きはさておき、問題点は9月11日を前にしての広告だったという事、それを前提にしても9/11は未だにセンシティブな事件だという事が露呈した。ただ、この広告はWWFのブラジル支部が制作したCMだった。温度差は確実にあるのだ。
ノーム・チョムスキーが日本人が制作したドキュメンタリーで語っている事は非常に的確に、ダーツで喩えるなら60点か54点の的を得ている。あまり引用はしないが、感想文としてかくのなら、南米のたとえばパナマでは空爆がアメリカからもたらされている。もちろん内戦のテロもあるわけで、テロは当たり前のようにすぐそこの危機として存在する。
しかし、アメリカはそうではない。彼らは空爆をしても専守防衛戦争を起こしても、敵陣に攻撃を仕掛けるのでテロを犯している意識はない。チョムスキーの言葉を引用すれば「悲劇は他国で起こっている」だけで、アメリカ国内では起こらない。それが帝国主義とリンクする。だから、他国で起こる筈の悲劇が帝国内で起こったから、他の帝国も慌てふためいた。もちろん日本もだ。
日本は帝国かという論題になれば、アメリカを打ち負かす帝国は今のところ無さそうなので帝国でないかもしれない。しかし、「悲劇は他国で起こっている」、決して他国からそのような悲劇がもたらされないとたかを括っていた国と人が慌てふためいただけのことであった。
だから、他国で起こったことなんて他国の人たちは知った事ではないのだ。WWFのブラジル国内で発注した広告がアメリカ国内を犠牲にしようがしまいが構わない。そういうことだったのだ。
その上で、私がこの広告を見たとしたら。
ニューヨークのテロとスマトラの津波を同等に考えたら100機飛んでくるのは別に間違ってはおらず、ただ、ニューヨークでは一度で2819人が死んだ、アジアは280,000人が死んだだけで、等式を当てはめたら100機飛ばすのが正解だった。ただ、それだけである。遺族感情を言うなら、ニューヨークもスマトラも一緒じゃないか。
ニューヨークのテロの被害者/犠牲者の立場にたってCMをみると、100機の航空機を飛ばすのはナンセンスだとなる。津波の被害者/犠牲者の立場にたってCMをみると、そうやって非難してニューヨークの事件を崇高高くしようとしている事がナンセンスだとなる。

あれからもう8年が経った。テレビニュースの歴史を変えた出来事。今年もMSNBCではNBCが9/11に放送した映像をNY時間8時45分から3時間ほどかけて再度、ノーカットで放送する。2期目の衝突やペンタゴンの被害、タワーの崩壊とあの日に起こったこと、テレビが映したものを8年前と同じ時刻で再放送してゆく。2001年9月11日の様子を追体験出来るという企画、2006年にも実施したことだ。
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木曜日, 9月 10, 2009

イギリスで党首らのテレビ討論開催へ # LeadersDebate @SkyNews

イギリスでアメリカ大統領選挙のような選挙の為の公開討論会、テレビ討論が行われる見通しだ。
事の発端はSky Newsの政治担当(Political Editor) アダム・ボルトン (Adam Boulton)。彼が8月末、ガーディアン(イギリスの新聞)が主催したエジンバラ国際テレビ祭の公演での話。2010年に想定されている議会選挙(任期満了は2010年5月)に合わせて、3つの主要政党の党首を集めて討論会を企画、党首にラブコールを送ったのだ。
1997年の選挙から政権を握る労働党(リベラル)、愛称でもある「トーリー党」を起源とする保守党、勢力では第3位だが政権を握ることはまだまだ先な自由民主党が現在のイギリス議会の主要政党となる。
選挙は庶民院(ハウス・オブ・コモン House of Commons) の議会選挙(General Election) の小選挙区制度のみで、勝った政党が政党を握る。アメリカと違って首相を選ぶ選挙はないし、選挙活動は日本ほど人員や金をかけないで済む。ちなみに2009年のイングランド各地で行った統一地方選挙は保守党が圧勝、2010年の次期選挙は保守党の政権奪取が予測されている。
ガーディアンの記事では、ボルトンはエジンバラで「(政治/選挙の過程の)再活性化につながる」とし、「党首討論が実現できないのは不名誉な事だ。Sky Newsは開催に向けて全てを注ぐ」と話している。

現在のところ、野党2党は受け入れる方針で、与党のデビット・キャメロン党首は消極的な返答をしている。
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日曜日, 9月 06, 2009

ABC World Newsのキャスター交代

ABCが夕方6時半(ET)にネットワークの加盟局に向けて配信するニュース番組、辞書っぽく言えばこれが『ワールドニューストゥナイト』、現在の『ABCワールドニュース』となる。
現在アンカーを担当するチャールズ・ギブソン (Charles Gibson) が年末に引退して、新アンカーはダイアン・ソーヤー (Diane Sawyer) が決まっている。ABCが自身のニュースサイトで報じた。

チャールズ・ギブソンは1987年から2006年まで『グッドモーニング・アメリカ (Good Morning America, GMA) 』のアンカーを担当。1998年に降板したが翌年にカムバック、約18年ものあいだABCの朝の顔として担当。2006年から『ワールドニュース (World News with Charles Gibson) 』を担当している。

#WNTの不運
2005年に『ワールドニューストゥナイト (World News Tonight, WNT) 』のピーター・ジェニングス (Peter Jennings) がガンで入院、4月からギブソンやエリザベス・バーガス (Elizabeth Vergas) などが持ち回りで担当するのだが、8月にジェニングスは死去する。年末までピンチヒッターの持ち回りは続き、年始から新体制で再始動となる。
2006年1月にバーガスとボブ・ウッドラフ (Bob Woodruff) がアンカーを担当。毎日どちらかがアンカーチェアーに座り、ウッドラフは取材で席を外す事が多かった。3月、1週間かけて中東から生中継を行い、イラク国内を移動していた時に被弾する。頭をえぐり取られるような重症で、ダメかと思われたが文字通りの奇跡の生還を果たす事となる。しかし入院にリハビリと、記者生活からしばらく離れざるをえず、現在も時折顔を見せる程度にある。一方のバーガスには5月、第2子の妊娠が判明。産休に入らざるを得なくなるが、この時バーガスにとって悲劇が訪れる。レイティングにおいて2位の座を維持していたのだが、CBSに抜かれた3位に転落したのだった。産休明けには2004年から担当している『20/20』のアンカーに復帰するが、WNTには戻ってこなかった。チャールズ・ギブソンは6月から『ワールドニュース』のアンカーを担当することになったからだ。ジェニングスが降板してから14ヶ月後のことだった。

#Gibson/Sawyer
ギブソンは1975年からABCニュースに在籍。ワシントンDCで下院議会記者などを経て1987年から『GMA』を担当。朝の番組ホストを担当すると、役割の性質からニュースの現場に赴く機会が少ないが、コソボ紛争やローマ法王の死去などを現地から報じている。2004年大統領選挙では2回目の候補者討論を司会。2008年大統領選挙ではABC主催の予備選討論会の司会を務め、開票番組など各種の選挙特番を担当。
66歳と高齢だが、アメリカのテレビニュース産業にはもっと老齢でも現役を走るジャーナリストが山ほどいるので、「もっと続けられるだろうに」という声が多い。
ソーヤーは63歳、CBSからABCに移籍、1988年からニュースマガジン『プライムタイム (Primetime Live) 』のアンカーを担当。1999年からGMAアンカー。来年1月から『ワールドニュース』を担当するので年内にGMAを降板する見通し。

#次の次は誰か?
ソーヤーが後継というのは天下のウィキペディアが噂話として誰かが書いていた事だった。今回現実でそうなるのだが、ABCニュースは人材不足なのだろうか?40代でアンカーを担当すれば上手くいけば20年担当する事だって可能だ。これまでの歴史がそう語る。
若手といえば土曜日のアンカーデビッド・ミューアー (David Muir) と日曜担当のダン・ハリス (Dan Harris) 、それ以外にはジョージ・ステファノポロス (George Stephanopoulos) がいるが彼は日曜朝の『ジス・ウィーク (This Week with George Stephanopoulos) 』がある。バーガスやウッドラフを復帰させる案は考えていないらしいが、ピーター・ジェニングスのように再挑戦のチャンスはあっていいと思う。
ソーヤーは63、結構なお歳ではある。しかし、底力を見せれば20年も続く存在になるかもしれない。『プライムタイム』のかつてのライバル、『20/20』を担当していたバーバラ・ウォルターズ (Barbara Walters) というアメリカのテレビニュース産業の生き字引はトーク番組『ビュー (The View) 』の企画・出演を(プロデューサーも)する、彼女の番組をしているが、それを始めたのは70になってからだし、もう80歳に手が届く。ドン・ヒューイットの死去が伝えられたCBS『60ミニッツ (60 Minutes) 』の出演者だってそうだ。先に書いたとおり、アメリカのテレビニュース産業は70になろうが80になろうが現役で働いている人が多い。それだけの年齢とキャリアを積めば貫禄と安心感を得るが、番組自体が年老いて見えてしまう危険性を孕む。
さらには新陳代謝で新しい人材が育ってくれないと困る。新陳代謝が上手くいかなかった例はABCが『Who Wants Be a Millionaire? (いわゆるミリオネア) 』の放送しすぎで新番組の開発を怠った事がレイティング低下を招いたと指摘された。

20年続く逸材が生まれるかもしれないが、その人材を探すのも一苦労。ソーヤーの次をABCは真剣に探すだろう。ソーヤーが踏ん張ってどれだけ続けられるかも見ものだけど。次の次のWNTのイスに座るのは。そして目下の課題、次のGMAのイスは・・・。
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