今回のABCニュースのキャスター交代劇。最小の異動で済ませるのなら、ただ単に『ワールドニュース(トゥナイト)』にステファノポロスを据えれば良いではないか、と今更思ってしまう。今、ABCは中長期の展望をしなくてはならない。
#WNTの変遷から考える事
WNTは1979年の開始当初、3人体制でアンカーを担当していた。キャリアや年齢で筆頭だったフランク・レイノルズ(Frank Reynolds)が1983年に引退(その年に亡くなった)。結果、3人の内で若手だったピーター・ジェエニングス(Peter Jennings)だけが残る事となり、20年以上WNTとABCニュースを牽引する事となる。
そのジェニングスは26歳で夕方のニュースを任された。しかし、若すぎたのか2年で降ろされた。その後は海外で記者として歩み、満を持して40から25年に及ぶアンカー生活を送った。
2005年にジェニングスが癌に倒れた時、翌年に中堅2人をアンカーに起用した。そのひとり、ボブ・ウッドラフ(Bob Woodruff)はイラクで頭部を負傷し危篤状態に陥り、長期療養を必要とした。一方でレイティングは低下し、もう一人のエリザベス・バーガス(Elizabeth Vargas)は産休を機に降板となり、朝の『グッドモーニングアメリカ』を担当していた重鎮チャールズ・ギブソンを起用する事となる。短期的に立て直す必要があったからの起用だった。しかし年齢64からの起用、リタイアメントを考えるようになり、3年で降りる事となった。
ソーヤーはいつまで担当するのかと先を考えてしまう。63、担当初日が64歳になる。十分に重鎮と言わる年齢に差しかかっている。GMAを10年間担当し、今度も10年は堅いだろう。勿論、GMAと違って呑気にはいられない。スケジュールでは大統領演説や臨時ニュースでスクランブルに出演し、GMAの頃より出張が多い。レイティングも未知数。彼女だってそんな事は知っている。ちなみに2008年の選挙シーズンではギブソン/ステファノポロスと並んで特番の司会を担当している。
#次の次の一手
感想としては、もうABCは手持ちカードを使い切ってしまったのだろうか。
実際、こんなに変えて朝・夕と日曜朝で首位を走るNBCを捕まえて追い抜かせれば大金星となるが、大失敗にもなりかねない。どうしても悲観的になってしまう。つまり、始まってもいないのに結果を見極めるのは難しく、実際に見極めが難しくなるような人選だ。新生GMAは選考を兼ねてリハーサルをしたというからソーヤーもリハーサルをしている筈だ。
不調に終わっても何年かは体制を変えずにゆき、急な変更は難しいだろう。でもいつかはソーヤーが引退する。ステファノポロスは安全策だ、実際にソーヤーの代理をする予定なのだから。両立がいつまで続く事が出来るのかという懸念は残る。外部から引き抜くのも手っ取り早いが、今はなかなか見当たらない。CBSが引き抜いたケイティ・クーリックも見た目が若くても50に差しかかる前の起用だった。
実績のある若手はそうはいない。ではABCニュースの内部を見渡すと。
バーガスは『20/20』アンカーを継続。ウッドラフは現場に復帰はしたが、焦らず急がずドキュメンタリーの制作に取り組んでいる。夜のニュースマガジン『ナイトライン』にはテリー・モラン(Terry Moran)、週末を見ればデビッド・ミューアー(David Muir)やダン・ハリス(Dan Harris)、ケイト・スノー(Kate Snow)などがいる。記者ではホワイトハウス担当のジェイク・タッパー(Jake Tapper、ポスト『ジス・ウイーク』の有力候補)などワシントンには有望株が多い。いずれもこれからが期待出来るのではないかと思うのだがどうだろう。
それとももう一度チャーリーに座ってもらおうか。
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