火曜日, 10月 27, 2009

You are not alone = 人を惹きつけさせる言葉

日本に普通の保守論壇御用達雑誌が残っているかどうか、私には分からなくなる時がある。SAPIOの最新号はサピオをはじめとする出版社雑誌vs新聞テレビという毎度おなじみの構図を持ち出している。そのどこが保守なのか、それよりサピオを保守系雑誌といったのは誰なのか、私だけか。

10月6日発売分の雑誌『SPA!』は「民主党政権誕生でネット右翼はどこへ行く」と特集を組み、ネット右翼を自負する何人かを取材している。SPAでよくあるインタビュー集という形式で。その中ではネット右翼たちは普段はたいして変わりのない一般人であること、決して画一的ではない事が浮かび上がる。SPA!で紹介されたブロガーのひとり、よーめんは自身のブログ一水社や右翼活動家の発言へ反論???というかおちょくっている。ま、こんなものだろうか。

世の中、強固な一枚岩勢力なんてそうそうない。たとえばアメリカ大統領選挙の指名レースは同じ党派でも主義主張がまったく異なる事を知らしめる。2008年の共和党候補者選びは(ちっぽけな知名度の)マイク・ハッカビーに注目されたが、彼以外の候補が教条レベルでリベラル寄りだと判断されてしまったからだ。ロン・ポールも共和党か。

ところで、なぜ日本でもアメリカでも思うことがグレン・ベックのキャッチコピーのひとつに体現している。
「You are not alone」きみはひとりじゃない、と。
これは日本でも効果的だ。2ちゃんねるやニコニコ動画。特にニコ動のコメントは「みんなでテレビを見るかのような」雰囲気になると自己PRしている。ひとりじゃないんだ。と。
実際に一人じゃないことを実感するのはシカゴやワシントンや全米各地で行った3月15日や9月12日のティーパーティームーブメントであり、翌月11日のナショナル・カミングアウト・デー(ゲイやセクシャルマイノリティ)のデモであって、インターネットの掲示板やブログのコメント機能だったりする。きみはひとりじゃない。

また、たとえばテレビで出てくるのは「わたしはひとりかもしれない」という人は出てこない。何かしらの特徴を持った人たちだ「かも」ではなく「実際にマイノリティ」なんだ、と。ドキュメンタリーの主人公も『笑っていいとも!』の素人も。だから何かしらの方法で結束させる必要があるのだ。それが特にリぶるズムよりコンサーばティズムの方が必要だというのか。FNCはFox Nationというコミュニティサイトを開設している。ハフィントン・ポスト同様、他のニュースサイトを引用したものが多い。

日本だとどうか。ネット右翼というコミュニティを形成する行為は「あなたはひとりじゃない」ことを連帯することを意味する。特に紙媒体は連帯感を特徴付ける。群衆に危機感を芽生えさせる事で連帯を促す効果があるし、それを助長してあげればいいのだと知っているからだ。
「あなたがいま感じた欺瞞は、決してあなただけが感じたではないのです。」
あなただけではないのです。とは、なんとも胡散臭い使い回しになってしまうが、「You are not alone」をかの「草莽崛起」と結び付けても決しておかしくない。意味は通じる。ただの、連帯する動機付けの為のコピーに過ぎないという。
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土曜日, 10月 24, 2009

Video of the week: Nationwide

Archive of the day
Program: Nationwide
Station: BBC One (1969 - 1983)

BBCが1970年代に放送していたニュース&ニューズマガジン
とにかくテーマ曲が。完全版はTVARKBBC Newsページにて。

First days
モノクロアニメ、簡単なコマ。それがジャズにぴったりくると。

Second
1970年代になってカラー化。ミュージックも更新した。

Fourth
1980年代になってからのバージョン。最後にちらりと顔を出すデービッド・ディンブルビーは政治番組の顔となる。
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木曜日, 10月 22, 2009

TIMEの表紙、グレン・ベックの「9/12」デモ @GlennBeck

保守派コラムニスト、ベストセラー作家、ラジオ番組パーソナリティー。2006年2月、HLN(当時はCNNヘッドラインニュース)でテレビ番組に進出。2008年10月―ちょうど1年前―にCNNと決別しFox News Channelに移籍、2009年1月に再スタートを切った・・・。
いま、アメリカで最も怒れる男、グレン・ベック (Glenn Beck)が雑誌タイムの表紙を飾った。ただタイムの見出しは「イカれる男(Mad Man)」だが。いかにも憎たらしく舌を出して、とてもベックのキャラクターを活かしきった表紙だ。とにかく今、グレン・ベックなくしてアメリカは盛り上がらない。

どうも過去にラッシュ・リンボーが表紙を飾った時とオーバーラップさせるウェブサイトがちらほら。たとえば NewsBustersとか。

彼の番組『Glenn Beck』では民主党オバマ政権と真っ向から対決姿勢を見せている。Fox News『Fox and Friends』で「オバマは人種差別者」発言をして、広告主から逃げられたのはもう過去の事だ。クビになるか心配したのがもう無かったかのようだ。

休暇から帰ってくると番組独自の企画も取り組む。8月24日から5日連続で現在降りかかる問題を振り返る「ニュー・リパブリカン」では「保守・共和党」の立ち位置を再確認する機会となった。オバマ政権、むしろバラク・オバマへの批判か。翌週はバン・ジョーンズへの疑惑を取り上げている。これは後述する。

#You are not alone, 9/12project
3月の「ティー・パーティー」ムーブメントにまで遡る。15日がティー・パーティーデモ本番だが、13日に番組は正式に企画として「9/12プロジェクト」を立ち上げた。9 つの原則/道義(Principles)、 12の価値感(Values)だ。もちろん9/11、つまりアメリカ人なら誰しもが「同時テロの日」を連想する。そして9/11でなく、その翌日「9/12」を選んだ。11でも12でもいい話で、キーワード集めなんて調整がつくのだ。9つのプリンシプルにはジョージ・ワシトンとトマス・ジェファーソンの言葉を引き合いに出していて、バリューは2月の番組で「You are not alone」と題したコラムで既に登場している。
最終的には9月12日、ワシントンなどでデモ集会を開催。ベックが特別番組を組んで生中継した。もちろん主催はFNCではないし、ベックでもない。しかし、わざわざベック自身が、土曜日の、普段の放送時間帯でない昼間に、他のレギュラー番組を移動させてまで放送する必要がどこにあったのか。リポーターを派遣させて群衆に発破をかける必要性はどこにあるのか。あ、そうではなくて、群衆はすでに盛り上がっていたのだ。

ついでにFNCは「このムーブメントをFNCしか中継しなかった、CNNやMSNBCはしなかったではないか」という新聞広告を掲載。これにCNNが反論するといういざこざもあった。

#希望と怒り
ではなぜ9/12なのか。もっとも分かりやすいのは12バリューのキーワードとしてでも登場するが「希望」だ。2008年の秋、突然の宣告により不況の波が襲い、2009年になって共和党の再生が叫ばれて、オバマは社会保障や国防政策を大幅転換しようとしている。保守や市場原理主義者、または中間層。彼らが持つこれに反発する怒りと、希望の光を掴み取ろうとする潜在意識、これをイベント化する事で表になって出てきた。
怒りの矛先は自由主義経済でなく、福祉国家制度へ移行する行為になのか。そうでなければ共和党政権は何をしてきたと主張されるのか。ブッシュはイラク戦争をしなかったらもっとマシだったかもしれない、というのはもう遅い。共和党候補で財政再建の実績があるミット・ロムニーを選んでいたら、とか言っている場合ではないのだ。だから、矛先はホワイトハウスへ向かうのだ。
制度改革で恩恵を受けるのはこれまで加入率の低い都市生活者であり、ヒスパニックやアフリカン・アメリカンの比率が高く、民主党支持者が多く、都市生活者は案外低所得者だったりする。ある程度給料をもらっているなら郊外で暮らして自動車通勤をするのだ。とは言ってもNYは違う。
オバマの医療保険制度改革への批判は大きな政府を目指す事への批判であり、保守層・共和党支持者は増税や財政危機に脅かされている。―もちろん財源問題などの理由もあるが、負担を強いるのは中流以上の階級で、近年の共和党支持者に郊外に住む中流層が多い―
新自由主義とは経済・社会政策において「小さな政府」を目指し、税負担を軽減することが経済発展につながるとしたのだ。オバマの改革はこの30年の方向性とは明らかに違ってくる。

#ベックの挑発
普段、番組の進行は形式化されているが、このように特別企画にも注力している。その多くは保守の立場をとる彼が民主党オバマ政権やリベラルのニュースメディアなど相対する立場へ突きつける疑問であり、ある種の「対決」である。ただ、多くの人は対決と感じてはいないだろう。リベラルに立場を置くものがそう感じ取るだけだ。もしかしたら子供の駄々こねかも知れない。

ベックの言動は注目されている。それは彼のポリシーに共感するかしないか、それ以前の次元で起こっている。とても挑発的だからだ。
それは1週間の休暇が明けた8月末、効果が明確に現れる。

最後に律儀にジョン・スチュアート。彼の『デイリー・ショー』で9/12デモとFNCをおちょくっている。10月12日にはLGBTのデモがあったのだが、これと比べたら面白い。特にFNCのアンカー・リポーターが馬鹿げて見えてくるが、つまりそんな程度のものだと言う事かと思わせる。たとえばゲイデモではABCの中継映像を使用した事に対してスチュアートは「カメラクルーは!?支局から窓越しに撮れるじゃないか!!」と言う。確かにそうだ、スタジオからキャピタル・ヒルを眺めるロケーションにあるのだ。なぜ中継車を手配しなかったのか。理由なんて、、、そんなものだ。
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火曜日, 10月 20, 2009

英、テレビ党首討論が実施へ? その2 #LeadersDebate

Sky Newsが進めている次期総選挙へ向けた党首討論(Leaders Debate)。Sky Newsは労働党党首であるブラウン首相が党首討論への参加を認める報道をした。実現に向けて着々と進んでいる。
今回のテレビ討論の話で、イギリスの報道機関は概ねアメリカの大統領選挙を引き合いに出している。Sky Newsは相次いでキャンペーンを行って実施へ向けて足慣らしを行っている。インターネットで開催実現の署名を集めを行い、そこで署名すると公開される。2008年の大統領選挙でマケイン×オバマ討論を仕切ったCBSのボブ・シーファーがCBSワシントン支局からインタビューに答えたかと思えば、元CBSのダン・ラザーもインタビューに答えている。が、彼はCBSと法廷で争っている身なのでFox Newsのスタジオから出演した。Sky NewsはFox Newsより先輩に当たり、FNC開局以前からCBS Newsと付き合いが深い。

アメリカのテレビ討論は1960年のニクソン―ケネディに始まり、テレビ中継を観た有権者はケネディに軍配を上げた話は有名で、この討論を実現したCBSのドン・ヒューイット(2009年死去)が「パンドラの箱を開けた」と述べており、金のなる政治イベントのメディアイベント化が進んだ。2008年は3回の大統領候補討論、1回の副大統領候補討論が行われている。それ以外に候補者が顔をあわせる機会はほとんど無い。
「あの夜、テレビと政治はお互いにどんなに役立つか気づいてしまったんです。彼らにとってテレビは最も効果的な宣伝媒体。一方、テレビにとっては底なしの金づるでした。テレビに出ずには大統領選挙は戦えないと気づいたあの瞬間、アメリカの政治はダメになってしまった。私はパンドラの箱を開けてしまったんです。そして、政治はマネーゲームになってしまったのです」2001年3月、『筑紫哲也News23』筑紫へのインタビュー(金平茂紀『テレビニュースは終わらない』所収)

イギリスでこれまでそういった討論会が行われてこなかった。
正午、庶民院で行われる「クエスチョンタイム」。その中でも水曜正午、与党首相が野党党首らの質問に答える「プライムミニスター クエスチョン」はSky NewsやBBC2などテレビ・ラジオで中継されている。これは日本の国会がお手本としたものだ。ちなみに首相は答えるのみで、「逆質問」は許されない。また、BBCを例に挙げると『クエスチョンタイム (テレビ番組)』や『エニー・クエスチョン? (これはラジオ)』など政治家同士や政治家と視聴者が参加するトーク/インタビュー番組は数多くある。
しかし、日本の衆議院と同様に「解散」がある為に選挙の日取りを特定することは難しく、選挙を大々的に盛り上げることは無かった。出来なかったし、無理にする事をしなかったのだろうか。アメリカは予備選討論、予備選、全国党大会、討論、選挙、就任式とイベントが組まれているが、それは選挙が11月の第1火曜と決まっており、だから他の「政治日程」も予め決まっており、中継するテレビ放送局も事前に用意が出来る。なんなら党大会の中継などイベントはすべてテレビ産業で新番組が始まる9月を避けている。(9月初頭の祝日・レイバーデイ以降にテレビ業界の新シーズンが始まり、新作の放映が開始される)
イギリスの場合、毎年5月の地方選挙―ローカルエレクション―に総選挙―ゼネラルエレクション―を持ち込む場合がある―直近の2005年がそうだ―が、解散選挙が可能なので数ヶ月前から政治日程にあわせた政治イベントを組む事は難しい。

これは日本でも同じことが言え、しかも2008-09年の自民党麻生政権が良い教えとなる。彼が金融危機を背景に臨時国会開会を優先して選挙日程を先延ばしにした事は、数ヶ月前から決め打ちで政治イベントを組む事の無意味さを示唆する。
2009年9月解散が出来ず11月までに解散できなかった政権は、年末近いので来年へ持ち越し。2009年年初からは7月まで続いた通常国会、その会期中にはライバル民主党首小沢一郎への政治資金疑惑が浮上、そのタイミングで解散すると「自民党は紳士的でない」と思われるので解散出来ず。7月は東京都議会選挙で公明党が同時期での選挙戦へ難色を示す。と解散するタイミングを見失い、結果お盆が過ぎてから選挙戦を闘う事になった。
それでも、日本では党首討論という名のキャラバンが行われている。解散間近に日本記者クラブが主催する公開討論を開き、NHKは可能な限り生中継する(2009年なら8月17日)。テレビ局も党首を招いて実施、10年前は与党党首が出席する可能性は低かった。それでも今年は6党首が仲良く揃ってテレビ出演をし、8月11日の日本テレビ、8月13日TBS、8月22日にテレビ東京が通常の番組内で開催している。
それでも、解散してから告示・投開票まで1ヵ月もない短期決戦。その期間内でしかテレビ討論は行えず、そして日本は首相がテレビインタビューに出演するのは年に1回しかないときた。

今回は既に先が見えている。人気は来年2010年5月まで。だから開催の目途が立てやすく、開催の実現性は高いと見られていた。では、いったいいつなんだろうか?今すぐというわけには行かないが。
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月曜日, 10月 19, 2009

モーニング・ジョーについて (Morning Joe)

MSNBCの朝の顔はジョー・スカーボロだ。スカーボロウないしはスカボロウだが、Joe Scarboroughに違いない。彼と番組チームは現在のMSNBCでうまくやっている。

スカーボロは2002年からMSNBCで番組ホストを担当している。1995年から2001年まで、共和党の下院議員(フロリダ1区)を3期6年勤めた。2003年、イラク戦争が始まる頃に『Scarborough Country スカーボロ・カントリー』は「開国」する。元議会議員がコメンテーターとして活動することは間々あるが、自身のテレビ番組を持つというのは稀な事だ。
その番組の宣伝でワシの姿が見受けられる―保守・共和党をイメージさせる動物の一だけど。番組のクリップを見る限りではスカーボロは日本でいうタカ派ではないと見受けられる。ライバルの保守派コラムニストを批判した事もある。

#朝の顔
MSNBCは1996年に開局したが、直後からドン・アイマスのラジオ番組を放送していた。2007年に人種差別発言への抗議を受けてアイマスはクビとなり、MSNBCは新しいホスト選びを始めた。
アイマスが去った後、普通のニュース番組を放送していた。しかし2週間後からMSNBCはトーク番組を再開。新ホスト候補を実際に喋らせて、その上で正式な後継者を決定しようという算段だった。
このインタームの時期に出演したのはデビッド・グレゴリー(NBCワシントン) や ジム・クレイマー(CNBC)、タッカー・カールソン(MSNBC)、そしてスカーボロなど。NBCユニバーサルの一員が多く、関係が薄い人物は初回の人物くらいか。
結果、スカーボロへの評価が高く、彼が番組ホストに決定。新番組『Morning Joe モーニング・ジョー』はアイマスに倣ってアシスタントを追加。スカーボロの補佐と相槌をし、朝のニュースブリーフを読んでくれる存在を求めた。キャスターのミカ・ブレジンスキとプロデューサー職で転職してきたウイリー・ガイスト。
ちなみに『カントリー』の代役はMSNBC元アンカー、ダン・エイブラムスが担当している。

#アイマスとの比較
ドン・アイマスの頃はただ番組を同時放送する程度で、MSNBCは深く関与しなかった。晩年、スタジオをMSNBCに引っ越した程度か。
スカーボロの『Morning Joe』はMSNBCのコメンテーターは勿論、NBCニュースのスター記者が積極的にゲスト出演する。これは開始当初からの特色で、アイマスに比べてゲストは確実に増えた。(経費全体に占める出演料は増している筈だ)。
しかし、レイティングは芳しく無かった。アイマスの頃30万人台を記録した視聴者が、それより少ない10万人台からのスタートとなったのだ。

# Thank you! Paris (Hilton)
そんな見向きもされない頃、番組の運命を決める出来事が起きた。パリス・ヒルトンの事件である。
2007年、パリス・ヒルトンの逮捕がセンセーショナルになった。そのヒルトンが釈放されたというニュース、ミカ・ブレジンスキ(Mika Brzezinski)―苗字が長い―は原稿を読み上げるのを拒否した。3時間番組で3回読むのだが、最初男性陣は軽い冗談でしょ、と決め込んでいたようだ。ミカはあからさまに読むのを嫌い、2回目は原稿の紙にライターで火をつけようとする。ガイストはライターを取り上げ、スカーボロは「いい匂いだ」なんてふざけてみる。が、怒りが頂点にいったままのミカは8時台、原稿をシュレッダーにかけてしまう。
翌日にシュレッダー事件の顛末を振り返り、笑ってみせるなど大人な対応をしたが、「パリスに憤慨したキャスター」としてAPなどがニュース記事に仕立て、YouTubeでアップロードした映像は300万回視聴されたことになる。
レイティングは一向に改善しない時期だった事もあって、この出来事は番組の存在自体を知らせる為のプロモーションとしては最適だった。なにしろYouTubeであれだけ視聴させたのだから。MSNBCは短命に終わる番組がとても多い。どんな事であれ、一助になったのは確かだ。

# "もうひとつの"成功
2008年、大統領選挙の年はニュース番組の視聴率は上がる。誰がなんと言おうと上がるったらとにかく上がるのだ。『ジョー』もご他聞に漏れず視聴者増加を果たし、ついにはCNN『アメリカンモーニング』と互角に渡り合えるようになり、たまにCNNを追い抜く(これはアイマスの時代にもあった)。ゲストに政治家や関係者が登場する機会が増え、出演するNBCの記者はワシントンにいる。
「もうひとつの成功者」として、ニューズウィークに番組を分析した記事(日本語版でも掲載された)が、これを端的にまとめている。
1) 左右に左右されない
誰しもが「MSNBC=リベラル」と思っている。そして夜の番組が成功した絶対の理由だ。そんな中でスカーボロは元共和党下院議員。彼自身は保守だが経済政策では1980年代からの主流である「リバタリアン/新自由主義」を自認している。マイク・バーニクルやパット・ブキャナンなど『カントリー』からの馴染みも多い。対してブレジンスキーは父・ズビグネフが民主党カーター政権時代のブレーンで、オバマ政権に暗躍しているとか、しているとか―結局は影響力を持つと噂される人物だ。ミカがパリス・ヒルトンの原稿をシュレッダーにかけなければ、とは大げさだが結果として彼女がいるからブッキングしやすく、バランスをとる格好となる。
2) 敷居を低く
トピックのほとんどが政治の話題。ワシントンにいてもいなくても見てもらわないとならない。ひとまず視聴者はついてきているようだ。日本版の記事はワシントンで時計代わりにMSNBCをつける人もいる、としているが。しかし、話が難しいままでは視聴者はPBSで十分だ。
『ジョー』のスタジオは緩やかだ。スタジオセットがオフィスを連想させている。テーブルの上にはラップトップや新聞、コーヒーマグが散らかり、携帯電話で返信する姿がある。これは先輩となるCNBC『スクワークボックス』でも同じ手法をとっている。実際、スタジオの中にある本物のオフィスデスクがNBCニュースのオフィス機能を担っていて、スタッフは本当にそこで働いているのだが。
トークのひとつひとつが長いので、クレーンカメラやステディカムで撮影して躍動感をみせたり、NYタイムズやWSJなど新聞の見出しを紹介したり、スクリーン上の演出も欠かさない。CM前後にはポップミュージックが流れるのもテクニックのひとつだ。
こうして、番組の敷居を低くして身近に接してくれればいい。
3) 友愛・・・というよりか
ケーブルニュースでグレン・ベックやビル・オライリー、キース・オルバーマンが象徴するように敵対心と怒りという演出手法が取り入れられている。『ジョー』では議論が白熱しても案外冷静だったりする。鳩山由紀夫が「友愛」を掲げるが、それはここでも通じる。「逆のベクトル」という表現か。
4) 使ってもらおう
また、ウィリー・ガイストが芸能ニュースの聞き役にまわり、7時前後の「News You Can’t Use」では息抜きにニュースを取り上げる。トーク番組でコメディアンのティナ・フェイが
「初体験はいつか」を話していたとか。一方で他のテレビ番組やブログでとりあげられてもいる。スカーボロがF**kを口にしたとか。こういう事はアメリカのテレビ産業ではよくある事だ。

# コーヒーカラー
ところで、番組のロゴはコーヒーマグの染み跡がモチーフで、スタジオ移転した2007年の秋に創られた。グラフィックはコーヒーブラウンでカラーリングしている。出演者もコーヒーをよく手にしている。NYSEから出演するエリン・バーネットが新スタジオに陣中見舞いした時、スターバックスのグランテカップを手にしていた。そして、2009年6月からはスターバックスがスポンサーとなった。スターバックスはプロダクト・プレースメントとして広告費を払う格好で、契約は年間1000万ドル、実際にテーブルにはスタバのコーヒーが置かれている。ニュース番組におけるプロダクト・プレースメントはコカ・コーラがローカル局で導入したのが始まりで2008年のこと。この時は食品サンプルだったそうだが。今回、最初こそ飲むシーンを意識して撮影していたが、そうでなくなってからも「普通に」飲んでいる。これに関して、賛否の声は多い。たとえばスターバックスが抱える問題は取り上げるのか?と。ジョン・スチュアートも皮肉っている。
で、たとえばスカーボロの出版記念ツアー―つまるところ全米を巡るサイン会―で地盤のフロリダに滞在していた時も1日はスターバックスの店内から中継。9月14日から西海岸を巡ったが木曜日、ジョーとミカはシアトルの1号店から放送した。

コーヒー片手に今日もオフィスから生放送が始まる。


F-Bomb, ‘Morning Joe’ highlights, Stuart on Starbucks

The Daily Show With Jon StewartMon - Thurs 11p / 10c
Corporate SynerJoe
www.thedailyshow.com
Daily Show
Full Episodes
Political HumorRon Paul Interview
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金曜日, 10月 16, 2009

CNNインターナショナル 'GO' beyond border

2001年9月11日の出来事をどれだけ覚えているのだろうか。私たちはどれだけ憎悪の壁を知っていただろうか。世界は9月10日にCNNインターナショナルがブランドを再構築した事も覚えているだろうか。ウィキペディアに書いた張本人として、そう思う。どうだっていいことだ。CNNインターナショナル(CNNI)は壁を乗り越えることが出来るのだろうか・・・

2009年9月21日からCNNIはブランドイメージを一新した。2001年3月の「Be the First to Know」 に代わるスローガンとして「Go Beyond Borders」 を採用した。これまでは速報性や信頼性に重きを置いていたが、これからは境界を越えてゆく、というメッセージになる。それは視聴者の国境や宗教・人種などの境を越えるという事と、テレビ・インターネット・モバイルとプラットフォームを越えるというのにも兼ねている。

今回はスローガンの変更と共に、番組ラインナップの変更を行っている。その目玉がアマンプールの起用だった。CNNの海外取材における記者の代表格として、ドキュメンタリーの制作やCBS『60ミニッツ』の外部記者を任されるなど、内外において「CNNの顔」だったクリスティアン・アマンプール。彼女をインタビュアーに起用。9月21日に始まった『アマンプール (Amanpour)』は2009年の年始から計画されていた。週5日、30分の番組はアジア・ヨーロッパ地域のプライムタイムにそれぞれ放送。1回目はアジアむけ(8pHK/2pCET)で、2回目(3aHK/9pCET)はたまにアメリカ国内のCNNでも放送するらしい。ほか、週末に放送する1時間のダイジェスト版はCNNアメリカでも放送する。日本なら午後9時に放送する(冬期は午後10時)。
また、長らく『ワールドニュース』として放送していた定時ニュースも変更。ワールドニュースは『CNNトゥデイ』や『ワールドニュースアジア』など放送時間に応じて番組の細分化を行っていたが、これらすべてを『ワールドリポート (World Report) 』に統一。従前の『ワールドリポート』は『ワールドビュー (World View) 』と番組名を差し替えた。『ワールドビジネスリポート』もグラフィックを更新している。
スローガンの変更や『ワールドニュース』を廃止して新しいタイトルへ移行したのは大きな転換点を迎えた事を示唆する。
WR, Amanpour, WBR, ‘Go Beyond Border’ promo



2009年はCNNにとって久しぶりとなるテコ入れの年となった。年初にはCNNアメリカに倣ってグラフィックデザインを変更。段階的にヨーロッパのプライムタイムに新番組を投入。リチャード・クエストの『クエスト ミーンズ ビジネス (Quest Means Business/8pCET) 』(1月26日)、ハラ・ゴラーニの『インターナショナルデスク (International Desk/6pCET) 』(2月2日)、ベッキー・アンダーソンの『コネクト・ザ・ワールド (Connect the World/10pCET) 』(4月20日)とスタート。取材の裏側に迫る『バックストーリー (BackStory/11pCET) 』は2008年10月に開始している。

Quest, IDesk, Connect, BackStory



2008年以降、『ビジネス・インターナショナル』の放送回数が減少し、『CNNトゥデイ』など平日に放送していた番組名を週末にも放送する―が、週末は一貫してアトランタから放送する。中断して『ワールドスポーツ』を放送するなど、3時間ブロックとして放送する存在意義が失われる。それまでの『ワールドニュース』とはたいして変わりない。いろんな番組名を抱えるが、どこのスタジオから放送するか、アンカーが誰か、タイトルがどうかの違いに過ぎなくなってきた。だからか、『ワールドリポート』と番組名を統一したが、このタイトルは従前のものと重複する。CNNが提携関係を結ぶ世界中の放送局のニュースリポートを紹介する『ワールドリポート』は2001年の同時多発テロ以降に放送回数を多くしたが、その後平日から週末のみの放送になった。そして新たに『ワールドビュー』としてスタートを切った。

CNNの親会社タイム・ワーナーはアメリカ企業であって、本部CNNセンターはアトランタにある。しかし、無意識にいるとアメリカの価値観しか持ち合わせず、アメリカのプロパガンダに陥る。その為か、CNNIはアメリカナイズという偏見から抜け出そうとしている。
開局当時から100%自主制作をしていたわけではない。CNNアメリカの番組で埋め合わせをし、現在もCNNアメリカが制作するニュース番組を放送している。『ラリー・キング・ライブ』が古株で、2008年にはアメリカ政治ニュース『シチュエーション・ルーム』を開始した。
その一方で進むのは多極化だ。『ワールドリポート』―改名して『ワールドビュー』はアメリカ以外のニュースリポートを放送。ロンドンと香港にスタジオを置き、そこからヨーロッパ・アジアの朝晩のプライムタイムを狙って番組を組む。中東やアフリカをテーマにした番組もあれば、世界中を行き交うビジネスマンに焦点を当てた番組も作る。2000年からビジネスマン・トレーダーを相手にビジネスニュースを強化。この時にクエストが起用され、ロンドンスタジオが重要になってゆく。2009年にはヨーロッパのプライムタイムに新番組を投入、ベテランを相次いで起用した。

さて、CNNIのスローガンはビヨンドボーダー。CNNはボーダーを超えようとしている。壁であり、境界でもある。それはCNNが超えるだけではない。CNNと超えるのだ。誰と超えるのか?これが鍵だ。その特定の集団と共にしたら、その集団はCNNについてくる。まずは国際問題を意識する集団だ。常に国際情勢に関心がある人々が自国のニュースを見ずにCNNを見る。2009年の新番組たちはほとんどニュースリポートとインタビュー、二手から分析する。そういえば過去に『インサイト (Insight with Jonathan Mann) 』や『Q&A (with Riz Khan) 』などがあった、これらは30分番組で、今度は60分が多い。『アマンプール』はインタビューのみで構成するつもりだし、取材の際は現地でインタビューを数多く行うのだろう。
次に肝心なのがビジネスマン。中東やヨーロッパで国境を越えた市場で仕事するビジネスマンだが、彼らが率先してCNNを見るとは限らない。だからCNNは率先して番組を作るのだ。それがこれまで触れた番組群であり、他に『マーケットプレイス・ミドルイースト (Marketplace Middle East) 』がある。そしてCNNを世界中の主要ホテルで視聴可能できる。

前述したがCNNは2000年にビジネスニュースを強化した。ヨーロッパ/アメリカのマーケットに合わせて番組を編成した。この当時、視聴者数ではCNNIよりCNBCアジアの方が勝っていた。そうCNBCアジアが宣伝していたのだが、ヨーロッパは分からない。経済専門のCNBCの戦略には需要があり、成立する。だからCNNIはビジネスニュースに乗り出した。しかし、イラク戦争がひと段落し、ビジネスニュース路線は後退していった事を、 YouTubeのコメントでおちょくられている。『ビジネス・インターナショナル』のオープニングを投稿したjameshhjhが「(CNNは)ビジネスというけど、ビジネスニュースがない」というが、実際にそのとおりだった。ビジネスニュースの頻度が低下していったので『インターナショナル』は2008年に番組名を変更している。
Business International


CNNIの改編はひとまず終わったことだろう。アジアのプライムタイムは『アマンプール』の先行放送があるくらいか。ジム・クランシーが『The Brief』として再スタートしていているが、これがアジアプライムにあわせたものか、微妙でもある。

The Brief (2009)
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新競技、シンクロナイズド・ディベーティング (Synchronized Debating)

去年の今頃がアメリカ大統領選挙の過渡期だろうか。8月終わりから9月はじめに全国党大会が終わり、マケイン/ペイリン陣営とオバマ/バイデン陣営は遊説に次ぐ遊説、演説に次ぐ演説を重ねた。その2者が顔を合わせる機会と言えば「大統領候補者討論会」くらいしかない。
1回の討論会に費やす時間は90分。マケイン×オバマは3回、ペイリン×バイデンは1回行われ、主要テレビネットワークとケーブルニュースのほとんどが中継した。
中継したのはいいが、見返すと本当に3回もするようなものだったのか、と少しは言いたくなる。1年以上前から大統領に向けて活動を行っていて、数多くの遊説と討論会を行い、これでもかという位に喋り倒したのだ。戦略担当やスピーチライターを雇ってあらゆるテーマを聴衆の心に響くスピーチを続けるので、候補者は喋り慣れてくる。そうなると主要公約やキャッチフレーズはすらすら喋られる。カンニングペーパーやプロンプターが無くても。そう、マケインが最後の最後に「配管工のジョー (Joe the Plumber) 」を頻繁に引き合いに出したように。



23/6.comはニュース映像でパロディを作っているが、討論会もその対象にした。デジャブを感じたんじゃない?と言う。まずは「シンクロナイズドディベート」を。

3回の討論会でのフレーズがきれいにシンクロしている。景気、財政、イラク、及び相手への批判だ。
3回の差異が際立てれば3回やる意味があるだろうし、実際に討論のルールは毎回異なっている。1960年のニクソン×ケネディは5回も行ったという。こうもきれいにシンクロナイズしてしまうと、案外時間を無駄にしていて、3回の討論テーマが似通っている事にも気づく。ではシンクロナイズドディベートとはなにか。結局、喋り慣れ過ぎてしまうと文句は同じになるようだ。もちろん、日本も。そんなものらしい。
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木曜日, 10月 15, 2009

Two and a Half...minutes news 2分半のニュース

ブロードキャスティング&ケーブルの記事より。

アメリカのネットワーク加盟局はだいたい決まった時間帯にローカルニュースを流す。
ただ、人口規模やどのネットワークに所属するか、で収入は変わり、中小の放送局はローカルニュースに手を出さない。iONというネットワーク―設立当初はPaxといった―はローカル編成を絶対にしない。それ以前に見向きもされないような存在だけど。

中小の放送局は財政がしっかりしてないと迂闊にローカルニュースに手を出せない。そして、シンジケーションからドラマやシットコムの再放送を購入して放送した方がまだいい、と考える。
たしかに日本でも当てはまる。昼間のドラマ再放送には固定ファンが多い。水戸黄門や2時間ドラマ、『相棒』などの刑事ドラマといったところか。

CBSに加盟するWWJ(デトロイト)は夜11時にニュース番組を始めた。2½分の番組はシットコム『Two and a Half Men (直訳で2.5人の男たち、邦題はチャーリー・シーンのハーパーボーイズ・・・らしい)』に倣って『Two and Half Minutes 』としたのだろう。ニュースが終われば『Two and a Half Men』が始まるのだった。


語感の良さが面白かったので気になったのだが、2006年に登場した『ニュースが起きていないのが良いニュース (Where No News is Good News)』というキャッチコピーは納得する。
それでもニュース番組を短時間で仕上げる放送局は幾つかあるようだ。10時に10分間のニュース、で10@10とか11@11とか。FCCのルールにのっとって番組が終わった後にCMを放送するので番組としては12-3分の放送となるけど。
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月曜日, 10月 12, 2009

CNN in Crossfire

CNNのレイティングは全くよろしくない。雲の上の存在となったFox News(FNC)はさておいて、MSNBCとCNNの姉妹局HLNと2位争いを行っている。
日中はCNNが2位を確保しているが、早朝はMSNBCと互角、夕方からプライムタイムはMSNBCに押され気味。プライムタイムはHLNも互角の戦いを見せている。ざっとこんなかんじか。
そして、FNCは保守寄り、MSNBCはリベラルだという色眼鏡で見られる中でCNNは違う道を選んだ。FNCのビル・オライリー (Bill O'Reilly)のようなパンディットに頼らず、記者リポートを軸におこうとしたのだ。2004・2005年にはジュディ・ウッドルフ (Judy Woodruff)がCNNを離れて長寿の政治トーク番組『クロスファイア (Crossfire)』や『キャピタル・ギャング (The Capital Gang)』が終了に至り、『シチュエーション・ルーム (The Situation Room)』が誕生している。
CNNはBest Political Team on Televisionと銘打った記者・コメンテーター陣のおかげか、民主党の勢いが勝っていたか、2008年前後の政治イベントに強さを発揮したが、それ以外の300日以上の「普通の日」はライバルを相手に埋没してしまった。顕著なのが午後8時台(ET東部時間)だ。
2002年にコニー・チャン (Connie Chung)を起用、2003年からはポーラ・ザーン (Paula Zahn)と、過去にライバルのCBSやFNCで活躍した人物を起用し、ゲストトークもあるが記者リポートもきっちり忘れていない。しかし、ライバルでCNNより格下と思っていたMSNBCのキース・オルバーマン (Keith Olbermann、2003年から現在まで)やHLNのナンシー・グレース(Nancy Grace、2005年から現在)が長続きしている。オルバーマンはブッシュ批判を強めた2006年から人気を得ている。
CNNは2007年にザーンを解雇、つなぎ番組を挟んで翌年、NBCのキャンベル・ブラウンを起用して選挙をメインに据えた政治ニュース番組をはじめることになったのだ。

Mediaiteがまとめた、2009年9月の月間レイティングによれば、午後8時の2位争いはMSNBCのオルバーマン(112.1万人)が制し、HLNグレース(82.3)、CNNブラウン(72.7)となっている。忘れてならないのはFNCのオライリーは348万人もいるのだ。いまのところ3位争いで接戦の状態が続き、ブラウンは引き続き番組を担当している。

そこへ、唯一の救いとなるのか?すぐに忘れ去られた話題がある。メディアビストロが運営するブログサイトFishbowlLA報じたのはCNNはクロスファイアを復刻させようと人選をしている、というものだった。

#Crossfire
CNNの実は数少ない長寿番組のひとつがクロスファイアだ。番組冒頭でアナウンサーが「オンザレフト ポール・ベガラ、オンザライト、ロバート・ノバック」と出演者を紹介するのだが、番組は右寄り・左寄りのコメンテーターがそれぞれ登場する。それぞれの立場・意見に基づいてニュースをコメントし、ゲストを交えながら意見を戦わせるのだ。

1986年の映像はシンプルだが、テレビ番組のテクノロジーの向上によって華やかになってゆく。また、有名人が出演すると記録に残りやすいようだ。『デイリーショー (The Daily Show with Jon Stuart)』でニュースキャスター役を演じるコメディアンのジョン・スチュアートをゲストに迎えた回も記憶に残る回だ。既存の概念を批判するのが得意なスチュアートは番組の左右に分かれたロールプレイに疑問を呈する。ウィキペディアを読み返すとiFilm経由で400万回以上再生されている。YouTubeでも230万回を数える。


結局、この当時のCNNの潮流としてトーク番組が冷遇を受けた時期だったこともあり、キャンセルとなった。
2009年の今のCNNも馴染みのゲストなどを囲んだトークコーナーを設けて、クロスファイアよろしくバランスをとったキャスティングがなされている。しかし、トークやインタビューは番組を構成する上でのひとつの要素に過ぎず、あくまで添え物としてしか機能しない。それに、他局の方がよく喋っている。CNNは本当にクロスファイア形式のトーク番組はカムバックさせるのだろうか?

ちなみにFishbowlLAでの話では、何人かの候補者を挙げている。
左サイドはラジオパーソナリティーやCNNでよく見かける顔が多い。
スティーブ・スミス (Steve A. Smith) ESPN
チャンク・ユーガー (Cenk Uygur) Radio host, The Young Turks
ローランド・マーティン (Roland Martin) CNN
エロル・ルイス (Errol Louis) CNN
対して右サイドはラジオパーソナリティーが候補に挙げられている()
ロー・コン (Roe Conn) WLS (シカゴ) 'The Roe Report'
ジョー・ワトキンス (Joe Watkins) 元WPHT (フィラデルイア)
スティーブ・マーツバーク (Steve Malzberg) WOR (ニュージャージー/ニューヨーク)
ジョー・パグス(パグリアルーロ) (Joe Pagliarulo) WOAI & KPRC (テキサス)
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『マネー資本主義』に代わる存在は生まれるか #WhatWeLearned?

シリーズの最終回に登場する何人かの発言を抜粋。

自由主義経済を振り返り、失敗を教訓として捉える時、何を学ぶのだろうか?

ジム・チャノスが「失敗のない資本主義は希望のない宗教」のようなものと説いたが、これが一番的を獲ていると思う。ただ、あまりにも大きな失敗が希望の光を翳したが。

公共/公益は自由主義に反する存在なのだろうか?
リーマン・ブラザーズの破綻から1年。どう軌道修正してゆくのか?

アラン・グリーンスパン、自由主義経済に関して、過去のフッテージより
「市場に任せればうまくいき市場が民主主義に貢献するという考え方です。そう信じるのはイデオロギーからというよりも、自由主義が世界経済にとって最も効率的な政策だと信じるからです」

2008年10月の公聴会でヘンリー・ワックスマン議長「自由主義的な考えが行き過ぎ判断を誤ったのではないですか?」
グリーンスパン「そうかもしれません。欠陥があったと思います」

ヘムルート・シュミット
「彼一人のみの責任ではありません。議会を含めたアメリカの政治全体の責任だと思います」
「私たちに出来るのは政府がきちんとした経済政策をとるように要求し、チェックし続けることです。
そして、日本や中国のアジア諸国にOPEC諸国など、10年後も多くの利益を生み出してゆくと予想される国々をしっかりとまとめあげて、同じ金融ルールに従わせることが大切です」

胡 鞍鋼 (こ・あんこう)
「規制と監督の無い中で構築された世界の金融システムは、危険性を持つに決まっています」

ジョセフ・スティグリッツ
新たな基軸通貨と世界経済理事会を提言
「IMFの最大の問題は・・・新自由主義の考えに支配されている・・・歴代の総裁はアメリカの財務省や中央銀行、金融市場の出身者が務めてきたのですから」
「アメリカは抵抗するかもしれません。しかし、もう新たな仕組み作りの議論は止められない。中国など莫大なドルを持つ国が賛成したとなれば、他の国も無視出来なくなる。現状を変えなければいけないという、国際的機運が高まっていると思います」

永田文治 (鹿児島銀行頭取)
土地担保でなく、農作物を担保
「産業あってこその金融です。やっぱり金融は黒子です・・・裏側に徹しないといけないですね。我々はやっぱり地域が繁栄してこそ」

原丈人 (はら・じょうじ)株主資本主義でない、公益資本主義を提唱
「(公益資本主義は)儲けた金を使って、何らかの形で世の中に役に立つことをおこなってゆく。
アメリカの猿真似をしないこと。
次の産業は一体何か、一番利益率の高い、株主を豊かにしてくれる、金融業が次の基幹産業だという風に勘違いした所にアメリカやヨーロッパのリーダー達の失敗がある。勘違い。
日本は実業をやる。製造業が大事だと(思う)・・・こういう人達の上で成り立っている唯一の先進国である日本は、アメリカと比べると、可能性は今のきょう現在においては高いと思います」

ジム・チャノス
「資本主義が与えるのは富を得るチャンスだけです。
社会主義がうまく行かなかったのは歴史が証明しています。人間の能力はそれぞれ異なるという事実を無視した」
「資本主義は徹底した自由競争の上でしかなりません」
「普段は資本主義で問題が起きると社会主義というシステムはいずれ行き詰まると思います。問題を解決することを・・・先延ばししている・・・。
失敗の無い資本主義は希望の無い宗教のようなもの」
マイケル・サンデル
「消費者としては、制限の無い自由な市場は法律を良くし繁栄をもたらすからとても魅力がありますよね。
社会の一員である市民として・・・市場が境界線を乗り越え教育や社会保障にまで影響したら?
経済成長だけが社会の目的になってしまったら大変な事になります。・・・過去数十年、我々はそういう方向へ流れてしまいました。
市場に支配されないしっかりとした社会基盤、公共性を再構築することです。そうすれば、市場は人々の生活を良くする為に存在するでしょう」

『NHKスペシャル マネー資本主義』2009年7月20日
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日曜日, 10月 11, 2009

ノーベル平和賞, バラク・オバマ

ノーベル平和賞にオバマ氏が選ばれた。
氏は国際舞台での実績が殆どないので「見込み」で選ばれたか、財団が人気取りに走ったか、程度の話で終わるのですが。

どうも祝福ムードは起こっていない。アフガニスタンに目をやればアメリカ軍が何をしているか、見るからに戦争だ。その最高司令官に平和賞、でもあるのだ。

前評判として、共同通信はノルウェーのテレビ局NRKの予想をピックアップしていたが、オバマには言及していない。時事通信の取材ではオスロ国際平和研究所の所長が「現在進行形の政治プロセスに影響を及ぼす人物への授与が望ましいと考えている」と分析しており、サルコジやオバマの名を挙げている。
確かにそうかも、思う節はある。2008年はフィンランド元大統領のアハティサーリが選ばれた。彼は紛争解決に注力した。オバマは州議会議員になる前から仲裁役になるべく活動してきた。「アフガン情勢」より「解決能力への見込み」を買われての受賞という事になる。アハティサーリはCNNに対して「委員会はオバマを励ましたかったのは確かだ」としている。「オバマ氏が取り組むべき最大の課題は中東和平で、授賞はこれを後押しする狙いがある」と時事はまとめている


もちろん、twitterユーザーの評価も芳しくない。(そんなにぶうたれるもんでもないだろう)と思ってしまい、ということは私はオバマに肩入れしている裏づけになってしまうのだが。

あまり盛り上がらない幾つかの理由
1)実績の無さ、オバマへの不信。
ヨーロッパ遊説での核廃絶スピーチだけだと。理想主義語ってんじゃねえ、実行する気あるのか、と。
2)過去、権力者か草の根団体しか授与していない、という財団への批判。
平和賞自体への疑問で、いらいんじゃない?という声もある。
3)今年まだ日本人に受賞者が出ていない恨み節。
もし昨日までに出ていたらそっちに気が向く、と。人間って案外バカだから。

1)について
シカゴのコミュニティオーガナイザー時代から喋りの上手さが買われていたオバマ。調整能力を発揮すべく行動をしていたように見受けとれたが、現状を打破できているだろうか?
核廃絶に向けての行動はこれから。国内問題は医療制度改革が難航し、保守/リベラルの溝は深まるばかり。

私は去年の選挙以来、マケインよりはオバマの調整能力に一票、という人物。なのでオバマへの批判に敏感かもしれない。
それ以前に二者の価値観の違いが露呈しただけ。だったり、オバマ信奉者の私は夢見ているだけで現実に向き合わないだけ、かもしれない。ということは、それらを自覚している私が、他者から批判されるのがイヤなだけか。器、ちっさ。笑

2)について
先週、2016夏期五輪が南米初開催・リオデジャネイロに決定したように、多数決では絶対な要素、好条件の属性があるほうが有利。つまるところ、「人気取り」が有利なのは変わることがない。
都知事が『見えない力学』というものは、まさにその人気取りになれるか否かの判断基準であり、言うならば頭ひとつ抜け出す為の「属性」という名のインパクトだ。リオデジャネイロには「治安の悪さ」を掻き消すくらいの「南米初開催」という属性がついている。

だから、平和賞にゴルバチョフだったりアラファトだったりゴアだったりグリーンピースなど賛否の別れる人物/団体が受賞するのであって、割りきってしまえば受賞基準は「そんな程度の話」。
しかし、そう割りきられてしまったら、財団と私たち個々人の間の理解の溝は果てしないものとなってしまい、財団の存在価値を脅かすことに繋がるのだ。
繋がっていないのであれば、まだノーベル賞が―個人にとって、でなくて―「社会にとって」世界の権威ある賞のひとつに数えられているという証しと言える。たとえ人気取りであったとしても、個人の不満が噴出しても。
少なくとも、ここに「そんなものか」と感じた個人が、ひとり。

3)について
日本人が選ばれるとバカになる。バカみたいにはしゃぐのではなく、バカになってはしゃぐ。種の優位性を叫んでいる、それだけの事だ。欧米に追いついた、とかも同様。
日本人の民族主義―民族保守―のうち、排斥派がいるように、WASPへの怒りがあるやもしれない。ネット右翼の方々とか。これも、種の優位性を叫んでいるだけなナルシズムに過ぎない。
そして、ウチが抱える生来のナルシズムに対するアレルギー反応が発動しただけ、なんだろうなぁ。
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Emotional moment on Letterman

Cable news schedules

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Fox News Channel

  • 6a Fox and Friends
  • 9a Americas Newsroom
  • 11a Happening Now
  • 1p America Live
  • 3p Studio B with Shepard Smith
  • 4p Your World with Neil Cavuto
  • 5p Glenn Beck
  • 6p Special Report with Bret Baier
  • 7p Fox Report with Shepard Smith
  • 8p The O'Reilly Factor
  • 9p Hannity
  • 10p On the Record with Greta Van Susteren
  • 11p O'Reilly (repeat)
  • 12a Hannity (repeat)
  • 1a Greta (repeat)

CNN

  • 6a American Morning
  • 9a CNN Newsroom (Kyra Phillips)
  • 11a CNN Newsroom (Tony Harris)
  • 1p CNN Newsroom (Ali Velshi)
  • 3p Rick's List
  • 5p The Situation Room
  • 7p John King, USA
  • 8p Rick's List #primetime (interim)
  • 9p Larry King Live (will be cancel this fall)
  • 10p Anderson Cooper 360°
  • 11p Anderson Cooper (repeat)
  • 12a Larry King (repeat)
  • 1a Anderson Cooper (repeat)

MSNBC

  • 5a First Look
  • 5.30a Way too Early with Willie Geist
  • 6a Morning Joe
  • 9a The Daily Rundown
  • 10a MSNBC Live
  • 1p Andrea Mitchell Report
  • 2p MSNBC Live
  • 4p The Dylan Ratigan Show
  • 5p Hardball with Chris Matthews
  • 6p The Ed Show
  • 7p Hardball (repeat)
  • 8p Countdown with Keith Olbermann
  • 9p The Rachel Maddow Show
  • 10p Countdown (repeat)
  • 11p Rachel Maddow (repeat)
  • 12a Hardball (repeat)
  • 1a Countdown (pepeat)

HLN

  • 6a Morning Express with Robin Meade
  • 10a Morning Express
  • 11p Showbiz Tonight (repeat)
  • 12p News
  • 5p Showbiz Tonight
  • 6p Prime News
  • 7p Issues with Jane Velez-Mitchell
  • 8p Nancy Grace
  • 9p The Joy Behar Show
  • 10p Nancy Grace (repeat)
  • 11p Showbiz Tonight (repeat)
  • 12a Joy Behar (repeat)
  • 1a Nancy Grace (repeat)

CNBC

  • 4a Worldwide Exchange
  • 6a Squawk Box
  • 9a Squawk on the Street
  • 11a The Call
  • 12p Strategy Session
  • 12.30p Fast Money Halftime Report
  • 1p Power Lunch
  • 2p Street Signs
  • 3p Closing Bell
  • 5p Fast Money
  • 6p Mad Money
  • 7p The Kudrow Report
  • 8p Documentary
  • 11p Mad Money (repeat)
* all times ET

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Naradio Asami
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