21日、日本相撲協会は記者会見を開き、調査委員会を開くことを明らかにした。委員は「外部」のみで構成されており、相撲協会の外部役員3人、生活指導部特別委員会の外部委員4人、弁護士3人の10人からなる。スポニチは21日に開いた理事会で決まった事が「特別調査委員会の設置だけだった」という。Xデーは7月4日だ。
武蔵川理事長は名古屋場所火災の可否について、予め作成した文面を読み、「7月場所は開催出来る願いしておりますが、現時点で場所の開催を見送らざるを得ない可能性もあり、(調査委員会の)報告を待って、改めて判断したいと」表明した。
調査委員会は27日に次回の会合を開く。そしてカギは7月4日の理事会で賭博に関わった氏名の公表及び報告書の完成・公表があるか否か。
毎日放送『ちちんぷいぷい』は18日金曜日、『大相撲ダイジェスト』で知られる東京相撲記者クラブ会友の山崎正―朝青龍引退問題などで生出演したことがあるが今回は事前に取材を受けた格好―に名古屋場所中止の可能性について取材を行っており、この時山崎氏は状況を解説して、おそらくオフレコだったのだろう、「年内は自粛すべき」と話していたという。つまり、山崎なりの叱咤である。番組では制裁のための中止ではない、というフォローがあったが、人気回復というよりか信頼回復の為に事態が明らかになるまで開催しない方がいいのではないか、そして名古屋場所の開催は3週間後に迫っている。
一方で21日の『ぷいぷい』ではスポーツジャーナリストの玉木正之はレギュラーゲストとして生出演していたが、過去の事例を触れ、開催するのではないかと踏んでいる。
「大横綱がハワイからピストル買って帰った事件があったんですよ、大横綱2人とも。あえて名前は言いませんけども。その時時津風理事長が『とにかく出ろ』と、『どんなに野次られても何されてもいいからいい相撲を見せろ』と、それによって解決しろといった様な伝統が相撲協会にはあるんですよね」 毎日放送『ちちんぷいぷい』2010年6月21日放送
もしかすれば名古屋場所は開催しないかもしれない。ただし、この名古屋場所だけは相撲協会と名古屋を地元とする中日新聞の共催関係にある。相撲協会だけで判断は下せないのだ。中日新聞が主導権を握っているわけではないが。玉木正之の解説では、相撲協会は本場所の収入が放映権料を併せて1場所で20億円とみており、山崎正はそれよりは少なく見積もっていて、場所ごとに売上は異なるという。とにかく十数億円がご破算になる危険性をはらんでおり、場合によっては賠償しなければならない。また相撲部屋は名古屋遠征にあたって1ヶ月程滞在しなければならず、滞在すると落ちるお金が落ちなくなる。
さて日本テレビは21日の記事でこう伝えている。
7月11日から始まる名古屋場所の番付は、6月28日に発表される。しかし、長年、相撲中継を行ってきたNHKは、テレビ中継をやめることも検討し始めているという。日本テレビの取材に、NHKの広報は「今後の調査の推移を見守る」と話し、中継を行うと明言はしなかった。20日日曜日の『真相報道バンキシャ!』の冒頭を観たらNHKの幹部には中継の中止の是非を検討していると話す人物がいると伝えられている。
23日のNHK定例記者会見では放送総局長に大相撲中継に関する質問があり、中止の可能性を否定しなかった。中止すると名言もしていない。以下はNHKのウェブサイトに公開された内容。
Q:大相撲名古屋場所中継について、どのような検討をしているのか?注: 今井副総局長はNHKニュース10キャスターを務めた元記者。
A:(日向総局長)
まだ最終的な判断をしている状況ではなく、重大な関心をもって見守っている。中継をやめるということも選択肢の一つとして検討しているという段階。
A:(今井副総局長)
放送しないことも含め、あらゆる事態を想定して検討している。日本相撲協会が、どういうけじめをつけるのかを見守っていきたい。
先程の玉木正之の話を再度引っ張れば、NHKが相撲協会に支払う放映権は1年間で30億円だという。NHKは総合テレビで午後3時台から、ラジオ第1では午後4時台から、BS2では午後1時台から生中継を行っている。終了時間はいずれも午後6時。大相撲中継は年間120日あって、日曜日は18週間分、他曜日は12週間分を大相撲中継に充てている。
NHKは大相撲中継による中断を前提とした編成を行っている。総合テレビの3時台と4時台は再放送枠、5時台は生放送を組んでいる。ラジオ第1は4時台と5時台で放送する番組は違うが、大相撲中継が組まれることで放送番組が中止になる事は少ない。平日の場合、『つながるラジオ』を2時台から4時台にかけて放送して、5時から7時にかけて『私もひと言! 夕方ニュース』を放送している。大相撲中継を放送しても番組そのものが中止になるわけではない、というのだ。NHKは長らくそういう編成を行ってきた。同時にローカル放送などあえて夕方に放送することで今度は予算を抑える、という手法も取っている。こういう編成には大相撲ファンでない番組ファンの評価はどうか。大相撲中継があるからという大義名分はどうでもいいかもしれない、もう慣れてしまっているから。ただ、目下の課題は名古屋場所中止で大変になる、夕方に生放送をするローカルテレビだ。ラジオや再放送の時間帯は機動性が高いのでどうにでも出来るが、関西で放送しているテレビ番組は学生が出演するロケがメインなので過去の再放送で食いつなぐしかないかもしれない。
その大相撲中継は昔に比べたら人気は落ちたが、現在でも良いコンテンツとして存在する。これはNHKが大相撲が無い平時に編成する番組に比べればの話であり、平時の成績が良くないから相対的に成績が良いに過ぎない。大相撲中継で視聴率が底上げが期待されるが、現在は期待出来ない。平時の視聴率を本気で取りに行く為に番組を育成したいのであれば、視聴習慣を中断させてしまう大相撲中継を考え直さないといけない。では放映権料に見合った需要がある限りは不必要なのだろうか。1試合1億とされてきた巨人戦は放映権料に見合う広告収入が期待出来ない危機感の中で中継数が減っていった。視聴率低下が直接の理由とされているが、それに伴って代理店が勝手に広告料金を引き下げられては困るし、その懸念は払拭しなければならない。1日2500万円と推測される大相撲は効率の良いコンテンツかもしれないが、買い手市場であるから、放映権料を引き下げる事を仄めかしてもいいし、その為に「中継をしない」と脅すのはありがちな交渉手段ではないだろうか。
放送しない可能性はNHKにとって良い事ばかりではない。国際放送NHKワールド・プレミアムは有料放送で、大相撲中継を放送している。日本国外の大相撲ファンは国際放送に加入して視聴するだろう。もし未来永劫放送しないのなら加入意義は薄れるのか、全く無くなってしまうとでも言うのか。
ただ、NHKのローカル放送は21世紀に向かってテレビ放送を拡充したが、海外の公共放送みたいにローカル専用ラジオ放送を増設すべきだったという個人的見解の為に、テレビローカル放送をやみくもに増やすことには懐疑的であることを明らかにしておく。また、地方の6時台ローカルニュースがニュースだけに終わらない事には賛成である。
現実的でない試案として、5時台に『列島リレーニュース(詳しくはウィ◯ペディアの同名ページを参照)』を軸にして『ニュース7』のキャスターが「片手間に」担当する。ローカル放送を6時スタートにして(5時台からしたっていい)ニュース以外の企画ネタに手をかければいい、そう思ったりする。5時台で予算をかけずに戦うなら、リレーニュースと二次利用の中継やリポートは有用・・・って、それと同じ事を午後2時台でしているではないか(そうなんだけど、差別化は出来るよ)。規模の大きい地域は5時台もローカル放送をしてもいいと思うが、日本の視聴者がアメリカのローカルニュースでは当たり前の放送内容の重複に同意するか否か。登坂淳一アナを呼び寄せるのが一番かもしれないけれど。
最後に、日本のニュースサイトはいずれリンクが切れるから、引用する。
野球賭博29人、クロなら出場停止/大相撲 サンケイスポーツ 2010年6月22日 5時3分
22日から野球賭博をしたと自己申告した29人から事情聴取し、「クロ」と判断した者には、7月4日の理事会で名古屋場所(7月11日初日、愛知県体育館)の出場停止処分を科す。また、理事会では、実施を危ぶむ声もあった名古屋場所の開催準備を進める方針で一致。開催を強行する見通しだ。
大相撲:野球賭博問題 いら立つ武蔵川理事長、頭下げず - 篠原成行, 毎日新聞 2010年6月21日 20時49分(6月21日 21時27分更新)
「100年に1度の不祥事。今後、協会も厳しい処分で臨みたい」。大相撲の賭博問題で揺れる日本相撲協会。21日の理事会では、名古屋場所の開催については「7月4日の臨時理事会で決める」と結論を先送りした。「おかしいんじゃないの、あんた。根拠があって言っているのか」。連日新しい関与力士の名前が報じられ、名古屋場所中止も現実味を帯び始める中、理事会後に会見した武蔵川理事長(62)=元横綱・三重ノ海=は謝罪する一方で、厳しい質問にいら立ちも見せた。
会見の冒頭、武蔵川理事長は「協会設立以来の危機を感じる。全国のファンにおわびし、信頼回復のために全力を挙げて取り組んでいきたい」と用意したコメントを読み上げた。反省と謝罪の言葉を並べたが、頭を下げる場面はなかった。
今後の調査について特別調査委員会座長の伊藤滋・東大名誉教授が「腰を据えてやりたい」と答えたのに対し、武蔵川理事長は名古屋場所について「開催に向けて進めたい」と明言するなど、終息に要する時間についての認識の差も垣間見えた。
川端文科相「開催は前提ではない」とくぎ スポーツニッポン 2010年6月22日
「調査によっては開けない可能性や出場してはいけない人が出るかもしれない」と指摘。その上で「開かれるときは力士もファンも安心して相撲を取り、応援できる環境が整っていなければいけない」と調査による信頼回復が不可欠との認識を示した。また、協会が開催の判断を7月4日の臨時理事会で協議するとしたことについては「警察当局とも連携しながら対応しているという流れの一つ。きちんとやるには日も必要。これで良い」と述べた。
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