- Fox Broadcasting Company 1986年に結成したアメリカの4番目のテレビネットワーク。09-10年シーズンで54歳以下で圧勝。ローカルニュースが盛んで、全国ニュース番組が無い。
- Fox News Channel 1996年開局のケーブルチャンネル。Foxネットワークが報道特番をする際に制作を請け負う。
FNCの登場はニューズコーポレーションの戦略の一環だ。独立局を掻き集めてテレビネットワークのFoxを結成した時、ニューズコーポレーション直営の放送局で朝のローカルニュース制作の実験を行った。同時に3大ネットのお堅いニュース番組に一石を投じるニュース番組を投入、ニューズの故郷であるオーストラリアから番組名を拝借した『A Current Affair(カレントアフェア)』が始まった。カレントアフェアを機にタブロイドニュースが席巻する時代を迎える。
しかし、カレントアフェアは1996年に幕を閉じる。ウィキペディアにもあるが、ジョージ・クルーニーのタブロイドニュース撲滅運動がタブロイドニュースの衰退へと導いた。クルーニーより絶対にタブロイドへの恨みがあったのに自身が逮捕されるに至ってしまうビートたけしとはえらい違いだ。それでも初代キャスターのモーリー・ポヴィッチがお昼のトーク番組を20年経つ現在でも放送しているのだから、そのポヴィッチが率いたカレントは支持されていたのだろう。
ちなみに『カレント』も『モーリー・ポヴィッチ』もシンジケーションで放送されている。ネットワーク加盟局への放送義務はないし、どこに加盟していても放送できる契約を結ぶことが可能だ。日本で例えるなら、ハウフルスが制作して日本テレビと東海テレビとABC朝日放送で放送するようなもの。『カレント』はそれでもFoxで放送してもらいたくて契約している。
1996年、ニューズは新たな一手を打つ。FNCの立ち上げだ。そしてFNCが手掛けるニュース番組をFoxに輸出することにした。日曜朝のトーク番組『Fox News Sunday (Foxニュースサンデー)』は既に3大ネットが手掛けていて、CNNやPBSも進出しているジャンルだ。司会者のトニー・スノウはブッシュ政権大統領報道官を務める事になる。
一方でネットワーク放送でもニュース番組を投入している。1988年から2シーズン放送した、『カレントアフェア』スタイルをプライムタイムに投入したニューズマガジン『リポーターズ』。1998年からの『Foxファイル (Fox Files) 』は1シーズンで終了した。1994年から2年間ケーブルチャンネルのFX(もちろんニューズコーポレーション傘下)で放送していたモーニングショー『ブレックファストタイム (Breakfast Time) 』を地上波に移籍させて『 Fox After Breakfast 』を放送したが1998年に終了した。注目すべきは放送時間でローカル局の朝のニュースが終わったあとの午前9時からが多く、つまり3大ネットの全国ニュースが終わる9時以降に放送されるということだ。
Foxの報道番組への挑戦は変化を迎える。ロサンゼルスのローカル局KTTVの朝の番組を全国で放送させる『グッデイライブ (Good Day Live) 』の放送、FNCが観客を入れて放送していたニュース番組『DaySide』をアレンジした『The Morning Show』、いずれも朝9時以降の午前中を意識した番組作りで、既存番組から出発させ、報道を抑え、娯楽性を高めた。FXから移籍したのも含めてどの番組も真面目にニュースをする時間ではないし、KTTVとFNCが注目を集めたのはパーソナリティーと「報道らしくない」雰囲気からFoxで挑戦しようか、という足運びとなっている。結局は3シーズン途中で打ち切られた。
また、2005年には『カレントアフェア』を復刻させた。その後キャスターをヘラルド・リベラに取り替えて『Geraldo at Large』とリニューアルして、さらにシンジケーションからケーブルチャンネルのFNCに移植、週末夜10時で現在も放送している。
結局のところ、Foxは全国ネットのニュース番組は相性が悪い。悪いったら悪い、そう言い切るしか無い。それは新参者の定めなのだ。決して取材力の問題ではない、ローカルニュースに手を出しているから。結局、3大ネットの真似をするだけではパイの奪い合いにしかならないので「報道」ではなく「ワイドショー」を選んだ。その『カレントアフェア』以降の番組群もローカルニュースの編成に邪魔にならないよう、昼間に組んだが故に報道ではなく「トーク番組」を選んだ。正面を切らなかった、切れなかったのだから、やっぱり相性が悪い。
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